プライスタグ (2007年)

少年映画評価 8点
作品総合評価 6点
少年の出番 95%(主役)
お薦めポイント 生意気だけれど可愛い中学生
映画情報など 2007年公開/DVD未発売
(写真は荻田修司君)


東京・下北沢にある「トリウッド」というミニシアターが、若手の監督やプロデューサーを発掘して、その映画製作を支援するプロジェクトの第2作目になるそうです。(第1作目は桜井剛監督の「ゴーグル」)

■ストーリー

関西のある都市(神戸と思われますが、解説を読むと一応は架空の都市のようです)では、街中が落書きだらけで荒廃が進む。そんな街に住む少年、正太郎(荻田修司君)は、世間知らずの中学生。幼ななじみの同級生の少女が遠くへ転校する事になるが、彼女に借りた120円を返すこともできていないまま、口喧嘩をしてすれ違いに。

また、正太郎の同級生に登校拒否中の少年がいるが、インターネットを使って違法取引きを行い、大人でも稼げそうもない大金を得ている。実はその大金を使って子分を雇い、街中に落書きをしている張本人だった。一方、正太郎には結婚した姉がいる。姉の夫(つまり義兄)は、将来音楽でデビューを夢見る好青年であるが、今はフリーターでお金がない。そのため正太郎は義兄を軽蔑している。

ある日正太郎は、義兄がアルバイトしている現場を見る。それは悪同級生達がやった落書きを消す仕事。一生懸命に身体を使って得たバイト代は、ほんの数千円。大人なのに、同級生の中学生が悪事で稼ぐ金額の足元にも及ばないハシタ金をみて、ますます軽蔑の念を持つ。しかし正太郎は悟る。悪事で稼いだ大金よりも、義兄達が汗で得た小金の方が尊いことを。

やがて同級生の少年は警察に逮捕され、幼ななじみの少女は、仲直りする間もなく引越す事になり、新幹線に乗るが、何とその新幹線に正太郎も乗っていた。義兄と同じバイトで貰ったお金で新幹線の切符を買い、120円を返すためだったが。正太郎が買えたのは最短区間の切符で、車掌の検札で指摘されて次の駅で下ろされてしまう、という情けない結末でした。

■荻田修司君

60分の中篇映画ですが、思ったよりも傑作でした。落書きなどはCGで合成されている事が最後に判り、さすがは芸術大学出身の監督さんだと、あらためて敬服しました。こんな作品が埋もれてしまっているのは非常に残念だと思います。

主人公の正太郎を演じたのは、荻田修司君。神戸なまりの関西弁ですが、セリフは少しぎこちない。顔も最初はあまり可愛くみえず、生意気な感じの中学生でしたので、これは失敗かなとも思ったのですが、だんだんと可愛く見えてきて、最後は彼に感情移入できました。

この年頃の少年は皆そうかもしれませんが、荻田君の顔は大人に見えたり、子供に見えたりと角度や表情によってバラエティに富んでいるので、彼の顔を見ているだけで飽きません。特に笑顔が可愛く、彼のアップのカットが非常に多かったので、監督さんもそう思って撮っていたのかもしれません。

ただ残念な事に、この映画のチラシにせよ、公式サイトにせよ、主役なのに荻田君の話題が少なく、同級生の少女役の今西彩さんの話題が中心になっている事です。確かに今西さんは大変な美少女ですが、この映画での出番はそう多くはありません。あくまで主役は荻田君でしたので、少年映画ファンの方は安心?してご覧ください。

なお、悪事を働く同級生役の少年ですが、彼は中学生には到底見えず、高校生くらいに見えましたので、最初は正太郎の同級生とは判らず混乱していました。同級生と判って初めてストーリーが納得できたのでした。

彼女を追いかける、その表情は中学生
ちょっとオジさん臭い表情も

■関西の中学生青春もの

関西人の中学生が活躍する映画は、ミニシアターを中心に結構制作されて、今ではメジャーになった子役もいます。女子では谷口美月さん、男子では森田直幸君でしょうか。この二人は共演もしていますし、それぞれ単独主役作品も持つ、今や全国区の俳優さんです。

本作品でも、先ほど述べた少女役の今西彩さんは、ひょっとするとブレイクするかもしれません。主役の荻田君はどうでしょう。なかなか難しいかもしれません。でもこの映画「プライスタグ」に主演できた事は一生残るわけですから、彼にとってはこれを宝にして、色々な事にチャレンジくれればと思います。

最後に繰り返し書きますが、本作品は思ったよりも傑作でしたので、機会があれば是非ごらん下さい。また何とかDVD化して欲しいものです。





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