トウキョウソナタ (2008年)

少年映画評価 7点
作品総合評価 7点
少年の出番 30%(出番は少ないがキーマン)
お薦めポイント 井之脇海君の存在感が抜群。
映画情報など 2008年公開/DVD発売中
(写真は、井之脇海君)


2008年10月4日、梅田ガーデンシネマ(大阪)にて鑑賞。東京など全国公開から遅れること1週間、やっと関西でも公開になりました。大阪駅北口から長い地下道を歩いた先にある梅田スカイビル。その4Fの梅田ガーデンシネマは、シネカノン系など少しマイナーな配給作品の専門館です。

初日2回目の上映で、最終的には満席でした。この映画館を10数回利用していますが、いつも最前列の席に陣取れたのに、今回最前列があっという間に埋まってしまいました。仕方なく2列目に座ったのですが、最悪でした。前席の人の頭が邪魔になるんです。天井が低く、床のスロープ角度もない、映画館としては失格の建物だったと、今日初めて気がつきました。
(う〜ん、スクリーン面積のうち、人の頭で欠けた面積分だけ入場料を返還して欲しい。今日は常連様が多く、普通の映画館では全く人気のない最前列から真っ先に埋まっ感じです。)

■ストーリー

サラリーマンの佐々木(香川照之さん)は会社をリストラされ、清掃員のバイトをしているが家族には秘密にしている。息子の健二(井之脇海君)はピアノを習いたいと言い出すが、佐々木は許さない(お金がないこともあり)

反発した健二は、塾を勝手に止めて、その月謝でピアノのレッスンを受ける。そんな時、健二の友人が家出するといので、一緒につき合うが、あっけなくつかまってしまった。更に家に泥棒が入ったり、佐々木が大金を拾ったり等のエピソードの末、健二が音大付属中学を受験する事を、佐々木は渋々認めた。

受験日、健二がドビュッシーの「月の光」を弾き始めた。その音色が会場全体を包むように染み渡っていく。

■目力の強い少年のインパクト

映画は非常に見応えがありました。香川照之さんの演技は存在感があります。(最近、ちょっと色んな作品に出過ぎかな、とも思いますけど) 場所も話も出演者も、現代日本の東京が舞台なのですが、絵の作り方がヨーロッパ映画を観ているような印象を受けました。

前半は父親役の香川さん、後半は母親役の小泉今日子さんが話の軸になっています。(小泉今日子さんの無意味とも思えるようなアップの連続が気になりました。)

さて本題の少年俳優ですが、井之脇海君、非常に好演でした。少し吊上り気味の目が意志の強さを表しており、印象に残る容貌です。ネットで柳楽優弥さんに似ているとの評を見ましたが、私は先日リバイバルで見た「火の鳥」の尾美トシノリ君に似ていると思いました。

2人とも、意志の強そうな顔に反し、すごく可愛い声のギャップが。外国人から見るとジャニーズ的な美少年より、井之脇君のような容貌の方がエキゾチックな感じで受けがいいのかもしれません。海外版のDVDやBDのジャケットは、国内版と違って井之脇海君がドーンと前に出ています。

パンフレットを読むと、元の脚本は外国の方が書いており、少年と父親の関係に絞った作品だったのを、黒沢監督が、母親と兄を加えて家族を描いた作品に拡張した、との事です。どこかで何回も聞いたような話ですね。元の脚本のままならば、素晴らしい少年映画になっていたのに。(どうして小泉今日子さんの映画になってしまったんでしょうね)

色々書きましたけれど、作品の出来自体は非常に良いので、皆さん機会があればご覧下さい。

友人につき合って家出。でも見つかった
左)国内DVD  右)海外BD
(海外は少年の方が受けがいいのか)

<追記>

井之脇海君はこの映画で、2008年キネマ旬報の新人男優賞を受賞。また、国内ではDVDしか発売されていませんが、欧米では高画質Blu-rayも発売されており、そのパッケージは井之脇海君1人だけが写っています。日本でも発売して欲しいところですが、仕方がないので、欧米版を輸入しました。





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