さよなら夏休み (2010年)

少年映画評価 8点
作品総合評価 6点
少年の出番 80%(実質主役)
お薦めポイント 少年の通過儀式。橋からジャンプ
映画情報など 2010年公開/DVD発売中
(写真は、千阪健介君)


2010年7月3日、岐阜市未来会館(岐阜)にて鑑賞。本作品のホームページ公開時点から首を長くして待っていた作品でした。これを見るためなら日本の果てまでも行くぞ、というくらい。

この日、大阪は朝から激しい雨。体調も今ひとつだし、わざわざ岐阜まで行くか、かなり迷いました。何とか気合を入れて新大阪へ。新幹線で50分少しで名古屋、快速電車に乗換え18分、岐阜は思ったよりも近い。

岐阜駅からバスで15分、メモリアルセンター前というバス停で下車、未来会館という建物はすぐ見つかりました。でもシーンとした静寂に包まれて、殆ど人がいません。3Fのハイビジョンホールに小さな看板があり、ここで間違いない事が判り、ほっと安心しましたが、それにしても誰もいません。

岐阜県ご当地映画で、全国公開に先駆けて先行上映。最終日とはいえ県下最大の岐阜市ですから、親子連れとか、学校関係の人とか、もっと行列が出来ていて、入れるのかな、なんて危惧していたのに、私が1番乗りだとは。(この日は3回上映で、私の見たのは12:30の回でした。)

結局、観客は15,6人、親子連れは1組だけ。年配の女性が大半でした(私は浮いていたかも)。当日券は1200円ですが、チケットはチラシの裏に印刷し、ハサミで切ったもの。(本当にチラシの裏ですよ。まあ手作りと思えば、味わいがあるのかしれませんけど。)

■ストーリー

東京に住むサラリーマンの裕史(緒形直人さん)が、ある人の葬儀のために故郷の郡上八幡へ戻り、約30年前のエピソードを回想するという形で進行します。(喪服の男たちなど、行定勲監督の「ひまわり」に似ています。)

30年前、小学生の裕史(千阪健介君)は家庭の事情で、東京から郡上八幡にあるお寺に預けられる事になった。寂しさもあり心を閉ざす裕史。そんな裕史の心を開いてくれたのは、担任の女性教師(立花美優さん)だった。淡い恋心を抱くが、やがて先生は不治の病いにかかっていることが判る。

先生の病気を治すため、自分も頑張るとばかりに、郡上八幡の伝統である橋から川への飛び込みにも挑戦する裕史だったが。

■少年の夏を描いた秀作

裕史を演じたのは千阪健介君。写真が趣味という、ちょっとひ弱な都会っ子。でもこの年齢の少年の顔は角度によって表情がどんどん変化します。幼くみえたり、力強くみえたり。それこそ監督やカメラマンの腕の見せ所です。こんなところも、少年映画が好きな理由のひとつなんです。

この作品は少年映画ですか、と問われれば、ちょっと違って、実は純愛物語が芯になっています。しかもヒロインが白血病で早逝するといもの。ただ、演じた立花美優さん(歌手のMIUさん)と要潤さんが、昭和の青春ドラマのように爽やかだったので、これはこれで良かったと思います。

「東京で暮らす少年に不幸が起こり、親元の実家である地方へやってくる」というローカル映画の鉄則を、律儀なまでに守ってくれております。決して悪い意味て書いているのではありません。少年映画ファンの私としては、各県でこのパターンで映画を製作してもらえば、少年映画がたくさん見れて嬉しいことには違いありません。

また、少年を引き取る祖父を演じた古谷一行さん、なかなか安定感がありました。もちろん主役の緒形直人さんも。こうしてみると、なかなか豪華なキャストです。そして何と言っても郡上八幡の美しい風景が印象に残ります。もちろん、ご当地映画ですから当然かもしれませんが、夏に行って見たくなることは請け合い。

ただ、郡上踊りのシーンが何回も何回も挿入されますので、最後の方は、なんだか少し怖くなってきました。町の全員が踊り狂っているようで、これは人間ではなくゾンビの集団ではなんて。ちょっと脱線しました。でも郡上八幡、是非行ってみたい。映画も全国公開時には、もう一回みようと思います。今回はプロジェクター上映でしたが、次はもっと大スクリーンのフィルム上映で見たい。

橋の上から飛び込めるだろうか
郡上おどりに集まった少年たち

(追記)2回目の鑑賞(2010.8.21)名古屋にて

8月21日から全国公開との事ですが、実際には愛知県など、ほんの一部の地域のみ。それでもシネコンの大スクリーンで見れるとの事で、思い切って行ってきました。新幹線で名古屋へ。ドニチエコきっぷを買い、地下鉄東山線で終点の高畑まで。市バスに乗り、三日月橋というバス停で下車すると、猛暑に立眩みしそうになりながら、川の近くの中川コロナワールドへ。

ところが駐車場入口はあるのですが、人間の入る入口が見当たりません。暑い中をぐるっと周りましたが、埒があかないので、駐車場を横切って、入口らしきところへ突進し、ようやく中に入ることができました。

舞台挨拶があるため、さすがに16:00からの回は残席わずがの状態でしたが、何とか指定券を確保。上映まで3時間もあるので、またバスと地下鉄で市内中心部に戻り、昼食とトヨタ産業技術記念館を見学し、16:00ちょっと前に映画館へ戻りました。

期待していたパンフレットは売っておらず、その代り入口で焼酎ミニボトル(薩摩白波)を貰って入場。ここからが大変です。館内の係員の不手際か、何のアナウンスもないまま、待たされて、ようやく始まった舞台挨拶。司会は地元の女性アナウンサーでしょうか。緒形直人さんに気後れしているのか、ノリの悪いトークで、全く盛上りません。

館内では、携帯カメラやデジカメのフラッシュが無数に光ります。ここは撮影自由なの?私も1枚だけ。と思っていたら、慌てて係員が「撮影はご遠慮下さい」と走り回っています。それでも、名古屋の皆さんは撮影を止めません。

舞台挨拶は緒形直人さん、立花美優さん、子役の女の子、地元の俳優さんの4名で、それぞれノリの悪い、盛上りの無いコメントを計30分ほど。実質主役の千阪健介君がいないのは、事前に判っていたのですが、誰かが何かコメントがあるかと期待していたのですが、皆さん自分の事だけを淡々と話されます。(監督、スタッフが不在なのが残念。)

舞台挨拶が終わっても不手際が続きます。何のアナウンスもなく上映が始まりません。いい加減イライラしてきたところで、ようやく上映開始。今度は観客の皆さんが問題。上映が始まっても話は止めない、立ち上がってウロウロする、携帯画面を光らせる。映画を見る環境ではありません。

今回は、動員されたような小学生が多いので、仕方ないのかもしれません。別に名古屋にかかわらず、ファミリー向け映画のシネコンは、どこでもこんな感じなんでしょうか。映画オタクだけが行くミニシアターのマナーに慣れた私にとっては、最初はあきれましたが、最後は気にならなくなり、映画に集中できました。

さて本題の内容ですが、2回目でも十分満足できました。映画はやっぱりフィルム上映に限ります。でも、こんな騒がしいシネコンでの鑑賞はご免こうむりたい。





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