ペダルの行方 (2010年)

少年映画評価 7点
作品総合評価 6点
少年の出番 100%(30分の短編ですが堂々の主役)
お薦めポイント 後にブレイクする浦上晟周君の演技
映画情報など 2010年公開/DVD等未発売
(写真は、主役の浦上晟周君)


ndjc(若手映画作家育成プロジェクト)は、優秀な若手監督を公募し、毎年5作品の短編映画の製作を支援しています。どれも30分という短編ですが、デジタルではなく35mmフィルムで撮影、編集するマニアックなもの。

せっかく製作された作品ですが、どうしても上映の機会が少なく、見逃してしまいます。特にndjc2009年は、少年俳優主演作が2本あり、本作「ペダルの行方」は見逃していました。それが、2015年2月、ndjc in ユーロスペース ベストセレクションとして、一挙に上映されることに。

この日はボーイズ&ガールズセレクションとして「ペダルの行方」(2010)、「きみは僕の未来」(2010)、「世田谷区,39丁目」(2014)、の3本が1日で上映。きみは僕の未来は既に見ていますが、何度でも見たい作品ですので、本当に有り難い1日でした。

■ストーリー

8歳の少年香太(浦上晟周(せいしゅう)君)には、兄がいたが行方不明になっている。今日も母と二人で、兄を探すチラシを配っていた。そんな香太に、中学生(清水尚弥君)が近づいてきた。「お兄さんの所へ連れていってあげる」そこには、兄に似た中学生がいた。香太は兄の顔をよく覚えていないが、兄と信じた。

実は、チラシを見た中学生の悪戯で、兄だと嘘をついているのだった。そこへ母がやってきて、その中学生を見つけた。そこで母は壊れてしまった。他人である中学生を息子だと思い込み、家に連れて帰ろうとする。その様子をじっと見つめる香太。さてどうなるのでしょうか

■浦上晟周君が全て

30分の短編ですので、ストーリー的にはシンプルな話になります。よく覚えていない兄。実は兄は死んでいるのでしょう。それを認めたくないのは母親だけ。弟である香太は、幼いながらも全てお見通し。それでも母の気持ちを大切にしています。

ちょっと首をかしげながら、大きな瞳で見つめる浦上晟周君。その表情ほ本当に素晴らしい。子供でありながら、周りの人たちを気遣い、優しい視線を送る。やはり天才子役の片鱗が見えました。

今回の上映では、監督の金井純一氏の舞台挨拶がありましたが、子役の浦上晟周君が、2013年のテレビドラマ「家族ゲーム」でブレイクした事を話しました。(私は、子役を見る目があったと、少し自慢するような感じでしたけれど、もっと自慢していいと思いますよ)

清水尚弥君は美少年なのに
■中学生たち。やや残念

さて、もう一人期待していた少年俳優が清水尚弥君。13歳くらいでしょうか、髪の長い超美少年でしたが、ほとんどアップにもならず、しかも不良グループ役とは、残念です。訳あっていなくなった兄の役をするものとばかり思っていました。

一方、兄に成りすます中学生役の少年(どうしても名前が確定できずすみません)は、なかなかの熱演でした。人を騙すことの罪悪感を感じている少年で、本当にいい味を出していました。

■写真がなくて(と思っていたら)

長い間、見たかった作品ですので、今回は満足しています。ただ情報があまりにもありません。youtubeに予告編くらいアップしてくれれば有り難いのですけれど、それもなく、写真としては冒頭に掲げたものだけとなります。

今回は特集上映があり、わざわざ仕事を休み、新幹線代を払って東京まで往復しましたが、経済的には厳しいです。なんとか、DVD-BOXを発売して貰えないものでしょうか。アンケートには書いておきましたが。

追記です。
DVDはまだ発売されていませんが、なんとBSスカパーで2015年3月に、ndjc作品を一挙放送してくれました。しかもハイビジョンで。私にとって、これは本当に素晴らしいプレゼントになりました。

お父さんにドライヤーを当てられ、満面の笑顔
目を見張った表情。可愛いですなあ





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