ふるさとがえり (2012年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 7点
少年の出番 70%(少年時代がメイン)
お薦めポイント 志を果たして何時の日に帰らん。涙です。
映画情報など 2012年公開 DVD発売中。
(写真は熊崎雄大君)


2012年10月13日、シネマ尾道(広島)にて鑑賞。

第2回お蔵出し映画祭で、本命の「Good Luck 恋結びの里」の次に上映されたのがこの作品。もう見ないで尾道観光に行こうか迷いましたが、せっかくの映画祭なのでもう1本くらい見ようと全く期待ゼロでした。でも結果的にこれが大当たりの作品でした。

■ストーリー

過疎に悩む岐阜県南部の小さな町。その町に相田勘治(渋江譲二さん)が帰ってきた。祖父は町長も務めた名家の次男だ。しかし祖父は亡くなり、消防団員だった父も殉職し、母一人で暮している。東京で映画監督を目指して頑張っていたが、母がガンになり看病のために戻ってきたのだ。(と思ったのですが)

町に戻った勘治の噂を聞きつけて、少年時代の親友だった3人がやってきた。勘治(少年時代を熊崎雄大君)は漫画の天才少年で、秘密基地に4人が集まり、いつも漫画を披露していた。ある日小亀を助けた勘治。それから4人は亀の子少年団と名乗り、楽しい日々を過ごしていた。

しかしお寺で映画の上映会を見た勘治はすっかり映画の虜になった。「これからは漫画でなくて映画だ」映画監督になるには東京へ行きたい。東京の中学を受験し、一人で東京暮しが始まった。映画監督の道は厳しいが、道半ばでの帰郷は不本意には違いなかった。

勘治は誘われて消防団に入るが、少年時代のような友情は戻らない。そんな時、勘治を応援してくれるプロデューサーから映画監督デビューの誘いがあり、母の看病を長男に託し、再度東京へ出ることを決意する。3人の仲間は反発しつつも、最後は勘治の夢を応援してくれた。

そして約1年後、勘治は再び町に戻ってきた。成功した映画監督となって。いや遺骨になって戻ってきたのだ。実は末期ガンになっていたのは母ではありませんでした。最後は騙されました。これ以上は書けません。

■色々てんこ盛りですが、感動できました

本作品は岐阜県恵那市の地方振興映画。2011年製作で、地方の会場で細々と上映活動を続けているようですが、お蔵入り映画と認定されたようです。ただ本作品は地元色が控えめで、意味のない観光映像もなく、ドラマに注力している点が非常に好感が持てます。上映時間が135分と長く、やや冗長的な部分もありますが、見応えのある映画でした。

漫画少年が秘密基地でのシーンは「20世紀少年」の世界ですし、線路を歩く4人組は「スタンド・バイ・ミー」、また主人公が実は末期ガンだったというドンデン返しも、どこかで見たパターンです。(主人公は実は幽霊だったというのと同じ)

どこかで見たような脚本をテンコ盛りにした感もあるのですが、映画全体として1本筋がきちんと通っていますので、緊張感が途切れることなく最後まで見れました。これは拾いものかもしれません。

お寺でみた映画の虜になってしまった
故郷の少年たちと。少年の日の思い出

■少年映画としても見応えあり

本作品の主役は大人の勘治を演じた渋江譲二さんで、彼の熱演がこの映画を支えています。しかしそれと同じくらいに少年時代役を演じた熊崎雄大君も印象に残りました。

少年時代は冒頭の数分だけという映画が多いのですが、本作品は過去と現在が頻繁に交差しますので、少年時代の4人組の出番は最後まで続きます。熊崎雄大君以外の3人の子役も熱演でした。

その他、脇役の俳優さんも自分の特徴をしっかり出しておられ、非常にいい仕事をしています。一人だけ感想を述べると、落語家の笑福亭鶴光さん。久し振りに見ましたが、相変わらずクセの強い人です。それでも役にピッタリはまっていたのは驚きでした。

もし皆様の地方で、上映会などがありましたら、是非鑑賞されることをお勧めします。できればDVDも発売して欲しいものです。ちなみに私は本作品に投票しておきました。(注)DVDは発売されました。





▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼少年映画第2部へ戻る