光る校庭 (2022年)

少年映画評価 A-
作品総合評価 B+
少年の出番 100%
お薦めポイント ちょっと「マイ・フレンド・フォーエバー」の二人
映画情報など 2023年国内公開。DVD等未発売。
写真は梅垣然太君。


2023年の第21回中之島映画祭で鑑賞しました。歴史ある大阪中之島公会堂。入場はなんと無料。上映後には比嘉一志監督へのインタビューまで。そしてこの映画祭のグランプリ受賞。しかしながらインディーズ系映画の宿命ですが、12月から始まった劇場公開は数館あるかなし。それでも2023年の貴重な少年映画です。DVDや配信がありましたら、是非とも、是非とも!ご覧になって下さい。

ラストシーン。ツバサの葬儀の帰り。トモヤ(右)は、遺骨を抱いたツバサの母と学校のグランドへ。
遺骨からツバサ(左)の霊?が花びらのように飛び出して、一緒に駆け回る。二人とも妖精のように。

小学生のトモヤ(梅垣然太)は母と姉の3人で母の故郷である愛知県豊田市に戻ってきた。地元の小学校に転校した日。どこか寂しげな顔の少年ツバサ(笹木祐良)と目が合った。ツバサは重い病気を持っており学校を休みがち。先生も同級生もツバサに気を遣っている様子。しかしツバサは明るくトモヤに話しかける。

体育はいつも見学のツバサ。トモヤに代わって走らせて貰った。しかしトモヤは先生に厳しく叱られた。やがて運動会本番。またもや一生のお願いと言って代わって貰い、走り出す。満面の笑顔で。そして倒れた。そのまま長期入院。お見舞いに来たトモヤに家に帰りたいと涙で懇願。トモヤはツバサを連れて病院を抜け出す。やがてツバサは亡くなった。死とは何だろう...


ストーリーを思い出して書くと、病気のツバサはわがままな子に思うかもしれません。でも決してそんな子ではありません。病気の前は、まるで鳥のように自由に外を駆け回る少年。それが制限されて鳥籠の中へ監禁同然。そこへ現れたトモヤが羨ましくて仕方がなかったのでしょう。

一方のトモヤ。実は父が行方不明になって数年。まもなく死亡認定。優しかった父。死ぬってどういこと。そんな思いをずっと抱いていた時、死と戦っている少年ツバサの目に惹きつけらてしまったのでしょうか。普通の友だち同士のような会話の中にも、ふと死がよぎってしまう。

ツバサを演じたのは笹木祐良君。ホラー番組「ふっかつのじゅもん」などTVでも活躍。ちょっと女の子っぽい小悪魔的な笑顔が印象に残ります。映画祭の司会者も「あのツバサ君役の子がめちゃくちゃ可愛い。どこで見つけたんですか?」などと質問していました。死んだ後も、グランドや空を駆け回っているような妖精のような役どころにピッタリでした。


そして主役のトモヤを演じた梅垣然太君。彼が本当に素晴らしい。演技が自然で表情も豊か。ツバサに無理難題?言われて悩みながらも、行動に移していく姿勢には共感できました。しかし一番印象に残ったのは運動会でツバサが倒れた責任を感じて、部屋に閉じこもり頭から布団を被っていたシーン。布団の中で「orz」になっていたのが笑えてしまいました。(→右のイラストのように)

病状悪化で面会謝絶になったツバサに会うため、深夜の病院に忍び込んだトモヤ。真っ暗な廊下を歩くツバサを見つけたトモヤ。ここはホラーでした。そのツバサをストレッチャーに載せて運び出す。病院の管理体制はどうなっているんだ?そんな野暮な事は置いときましょう。


父を亡くしたトモヤは母の実家である豊田市にやってきた。


重い病気になり入退院を繰り返すツバサ。体育の授業はもちろん見学。走りたい...


トモヤとツバサは親友になった。二人でいるのは楽しかった。


運動会で倒れたツバサを見舞うトモヤ。次第に病状が悪化していく。


面会謝絶が続く。トモヤは夜こっそり病棟に忍び込んだ。
真っ暗な廊下をツバサがひとり歩いていた。驚くトモヤ。(そりゃホラーですわ...)


家に帰りたいんだ...トモヤはツバサをストレッチャーに乗せて病院を脱出。
(こんなに簡単に侵入や脱出を許してしまう病院なんて)


トモヤを振り返ったツバサ。喜びと感謝の笑顔をみせてくれた。




※後記
本作をみて思い出すのは米映画『 マイ・フレンド・フォーエバー』人気子役だったブラッド・レンフロ演じる ちょいワル少年が重病の少年と親友になり無茶な冒険。ストーリーは違いますが、二人の友情には共通するものを感じます。こちらは全世界でヒットしました。本作だってもう少し評価されてもいいのでは...





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