マサーおじいの傘 (2007年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 5点
少年の出番 100%(堂々の主役)
お薦めポイント 監督もキャストも製作もオール沖縄の少年映画
映画情報など 2007年製作。DVD発売中
(写真は主役の神谷健太君)


2009年の映画「ニライの丘 A Song of Gondola」は沖縄の少年を描いた珠玉の作品でした。監督の大城直也氏がその2年前に、同じ少年俳優の神谷健太君を主役に作った約35分の短編映画が本作品です。

本作品は3本の短編で構成された映画「琉球カウボーイよろしくゴザイマス。」の中の1作。上述の「ニライの丘」が吉本興業の資本を受けて製作されたのに対して、本作品は沖縄純粋の作品(だと思います。間違ってたらすみません)

セリフはすべてウチナンチュの言葉ですので、そのままでは3割も判りません。ですので、ちゃ〜んと字幕がついています。最初は頑張って耳で理解しようとトライしたのですが、無理せず字幕に頼りました。

ケンカに負けて雨の中を帰ってきた海斗に、見知らぬおジィが傘を差し出した
(こんな風に全編にわたって字幕がつきます)
■ストーリー

1975年。本土復帰から3年。糸満に住む小学生の海斗(神谷健太)は今日も悪ガキ達にいじめられている。海斗は母を亡くし、漁師(うみんちゅ)の父と2人暮しだが、母の死は父のせいだと思っていて口も聞かない。近くにすむ祖母(おばぁ)の家に入り浸り。目下の願いはケンカに強くなること。

雨の日。ケンカに負けて傘もささず歩いていた海斗に、変なおじぃ(カッチャン)が傘を貸してくれた。このおじぃは祖母の家の隣に住む沖縄空手の名人マサーではないかと。それから海斗はおじぃにまとわりつく。空手を教えてくれと。しかしおじぃは全く上の空。本当に名人なんだろうか。

そんなところへ中国の武術家と称する男が行商にやってきた。子供たちにヌンチャクを売りつける。おじぃはそれを偽物だと言った事から、この武術家が怒って勝負を挑んだ。海斗の血が騒ぐ。おじぃが武術家をコテンパンにやっつけるものと...しかしおじぃは全く無抵抗でやられてしまった。

■意地ぬ出じらぁ手引き 手ぬ出じらぁ意地引き

これが本作品のテーマ。糸満市の碑に書かれている言葉らしいです。腹が立ったら手を引っ込め、手が出そうになったら意地を引っ込める。不戦の誓いみたいなもの?いえそんなに高尚なものではなくて短気は損気程度のものらしいそうですが。

でも沖縄の歴史を読んでみると笑い話ではありません。島津藩の侵略に始まって...(こんな話はやめておきます)。舞台背景は1975年との事。教育関係者に聞いた事があるのですが、沖縄の教育現場は荒れていたとか。本作主人公の海斗少年もなんとなく荒んだ部分が垣間見えます。

だからこそ、この格言が意味を持ってくるのでしょうねえ。ところで小学生の神谷健太君。ぽっちゃりしてカッコよくはありません。中学生になった「ニライの丘」のスリムな印象とは全く別人ですなあ...笑顔は可愛いけれど。

今日も悪ガキどもにやられてしまった
(マンガを持って来いと...)
傘を貸してくれたおジィは祖母の家の隣にいた
(かなり怪しい爺さん。普通なら関わりたくないなあ)

時折りみせる人間技とは思えない おジィの凄技
あっけにとられる海斗。
空手の技はなかなか教えてくれない
(ケンカのために空手がなぜいけないのか...)

武術家とおジィの決闘をこっそり見る悪ガキども
(しっかり偽物ヌンチャク買わされてますなあ)
(ヌンチャクって...ブルースリーの映画の頃か)
オジィは無抵抗。その態度に武術家は降参
がっかりする海斗。でも祭の時は笑顔。






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