そそがれ (2020年)

少年映画評価 5点
作品総合評価 5点
少年の出番 70%(実質主役)
お薦めポイント 絵を教えてくれた女先生との甘い甘い思い出。
映画情報など 2021年、WOWOWにて放送
(写真は斎藤絢永君)


機械仕掛けの君』と同じく、若手男性俳優5人が短編映画制作にチャレンジするWOWOW企画の1作品。本作は白石隼也さんの監督作品。5作品の中でも評価が高い作品ですが、機械仕掛け〜に比べるとスケールが小さい感じがします。

通っていた絵画のアトリエ。左はライバルのアベ。右はは主人公のクロキ
(一見、楽しそうですけれど...絵の才能は無さそう)

小学生のクロキ(斎藤絢永)は女先生(神野三鈴)のアトリエで絵を習っていた。生徒はクロキ含めて3人。先生は母性に溢れて艶かしく底知れないほど優しかった。でもクロキは自分に絵の才能が無いことは判っていた。

ある日、鉢植にオシッコをしていたのを先生に見られた。先生は言った。2人だけの秘密よ。そして先生は病気で亡くなった。青年になったクロキ(吉村界人)は先生との秘密を引きずったままだった。

■25分の使い方

WOWOWで放送されたアクターズ・ショート・フィルム5作品全部鑑賞しました。感じたのは25分の壁。どうしても小劇団風の風刺劇、シュールなナンセンス劇になってしまった感があります。その中で『機械仕掛けの君』のスケール感が私には秀逸に思えます。

本作品はややスケール感が小さいものの、映画らしい雰囲気は秀逸に思います。出番は少年時代の方が多いのですが、終始青年の視線で描かれていますので、少年映画と呼べないかもしれません。

青年が鉢植えに水を注ぎます。たくさん注いだ水。それが全て鉢の底から流れ落ちる。穴の空いた鉢にいくら水を注いでも虚しいだけ。青年の才能もこの鉢と同じ。少年時代に鉢植にオシッコをしてしまった事が原因なのでしょうか。

少年を演じた斎藤絢永(けんと)君。セリフが少ないので演技力はまだ不明ですが、いいルックスをしている事は確か。そして何と言っても先生役の神野三鈴さんの圧倒的な存在感。子役3人が先生にハグされるシーンがありますが、きっと母性以上のものを感じたのではないでしょうか。

今日はヒマワリの絵を描くのよ。
(右は生徒の女の子。しっかりした優等生)
男子2人は飽きてきたのか、じゃれあって....
(これこれクロキ、股間を蹴ってはいけません)


花びらの描き方を教えてくれる先生
(ぐっと顔を近づけてくれた...)
花びらをよく見て。影があるでしょ。
(真剣な表情。でも背中に先生の体が...)


庭の鉢植えにオシッコをしていると先生が...
すぐには止まらない。焦るクロキ
先生が入院する。生徒たちにハグしてくれた。
これが先生を見た最後だった...


先生のいない間、別の先生が教えてくれた。
その先生も女性。そしてずっと若い。
先生のお葬式。女の子がクロキを引っ張って...
でもクロキは行きたくなかった。



※後記
本作品を見て思い出したのが、1990年の仏映画『髪結いの亭主』。少年が行く床屋の理髪師は優しいグラマラスな女性。彼女の腕に抱かれて散髪される少年の恍惚とした表情。少年は結婚するなら絶対に女性理髪師だと心に決めます。本作ならアトリエ教室の女先生。でも死んでしまった...





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