キャプテン (2007年)

少年映画評価 B+
作品総合評価
少年の出番 100%(主役)
お薦めポイント 本物の中学生世代が演じる野球ドラマ。
映画情報など 2007年国内公開。BD/DVD発売中。
写真は布施紀行君。


ちばあきお氏の漫画の実写化。少年ジャンプの作品ですが、週刊ではなく月刊の方に掲載されていたので、私は読んだ事はありませんでした。1980年から放送されたアニメも人気だそうですが、これも見ていません。チャンピオンのドカベンはほぼ全話読みましたけれど。

主役の布施紀行君はじめ、キャストは本当の中学生(に見えます)。演技やセリフは流暢とは言えませんが、野球はなかなかのもの。派手さはないのですが、さわやかな野球ドラマは好感が持てました。

映画終盤。谷口の顔は凛々しくなった。これがキャプテンの顔だ。

中3の谷口(布施紀行)は父の仕事の都合で墨谷二中に転校。そして野球部に入部。谷口は野球の名門 青葉学院にいたという理由だけでキャプテンにされてしまった。しかし谷口はベンチにも入れない球拾い。化けの皮はすぐに剥がれてしまい、谷口は退部しようとするが、それを聞いた父が許さない。

元高校球児である父の弟子に徹底的にシゴかれ、野球の腕が上がっていく。谷口は気弱な性格だが頑張ってキャプテンを続行。地区大会で初めて1回戦を突破。あれよあれよと決勝戦へ。相手は青葉学院。墨谷二中なんて屁とも思っていない。谷口たちは粘りに粘る。しかし後一歩だった。破れはしたが谷口は名実ともにキャプテンだ。


とにかく主人公の谷口タカオ君がいいのです。オドオドと頼りない少年。打てないわ、エラーはするわ、名門中学野球部出身の化けの皮が剥がれた後。穴があれば入ってしまいたい気持ち。それでも涙をこらえて耐える。演じた布施紀行君が本当に素晴らしい。

同じ2007年に公開された映画『バッテリー』の林遣都さん演じる主人公よりも、ずっとずっと共感が持てます。作品的には地味ですけれど。なによりも本当の中学生に見えるキャストが多い事。もちろん中には「ナニ?このオッサン」というような中学生役もいましけれど。

青葉学院のエースピッチャー。地方予選のようなクズ試合には登板せず全国大会だけ。谷口と同学年だったが口も聞けない存在。王子と乞食、殿様と足軽、月とスッポンのような関係。彼に自分の存在を知って欲しいという(恋にも似た)願望があったのだと思うのです。しかし彼にとっては谷口は虫ケラ同然。

遠い存在であったエースの彼。それを決勝戦で谷口率いる墨谷二中はマウンドに引きずり出した。彼を打ち崩すことは出来なかったが、かなりのところまで追い込んだ。でも谷口の心中は喜びに満ち溢れていたと思います。墨谷二中に谷口あり。

原作漫画を知りませんので他のレギュラー少年の事は判りませんが、中2のマルイ、中1のイガラシの2人がいい味を出していました。マルイ役の小川拓哉君は変声前のキンキン声。イガラシは中1なのに不敵な面構え。年下のイガラシがバッティングのアドバイス。谷口がそれを素直に聞くところが良かった。


墨谷二中の野球部に入部願いを出した。
オドオドと下を向き、自身なさそうな顔。
野球部をやめると父に言った。
しかし父が許さない。それでいいのか!


夜中の特訓を重ねて野球の腕は上達。
顔にも自信が溢れ出てきた。
左は青葉学院のエース。やっと谷口を見てくれた。
決勝戦では必ず彼をマウンドに引きずり出す...


マルイ役の小川拓哉君。まだ童顔です。
(原作漫画では、翌年のキャプテンに)
イガラシ役の中西健君。中1とは思えぬ面構え。
(原作漫画では、翌々年のキャプテンに)



※後記
原作は70年代の漫画。おまけに中学野球という事で女の子が登場しません。私はそれでいいと思ったのですが、興行的には良くないと考えたのか、新聞部の女子生徒が映画オリジナルキャストとして登場。でも彼女がいいアクセントになっていてストーリー進行がよく判りました。




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