眠る虫 (2019年)

少年映画評価 B+
作品総合評価 B+
少年の出番 半分ほど(準主役)
寸評 バスを降りると異世界。老人と少年のいる家が暖かい。
【少年映画でない理由】あくまで女性映画。
映画情報など MOOSIC LAB 2019 グランプリ受賞。日本映画専門chで放送。写真は佐藤結良君。


前回ここでレビューした『散歩する植物』の金子由里奈監督が同じ年に製作した62分の中編映画。散歩する植物も好きでしたが、本作はもっと好きな雰囲気です。ただし両作品とも細部はよく判りません。声も聞き取りにくいし。でもこんなにワクワクするのが不思議。

女性が知らない町でたどりついた家。少年と不思議な老夫婦。
(主人公の女性は少年の横にいます。心霊写真ではありませんよ)

若い女性(松浦りょう)はバンド練習に行く途中のバスで不思議な老婦人を見た。箱のような楽器で聞いた事のないメロディが聞こえる。彼女は老婦人に惹かれてバスの終点へ。しかし老婦人は楽器とメモを残して消えた。彼女はメモを頼りに初めての町をさまよい、ある家にたどり着いた。老人が一人。老婦人の連れ合いだろうか。

さらにケイ(佐藤結良)という少年が来た。老婦人の孫だろうか。なぜか3人で食卓を囲み、あのメロディーが録音されたカセットを聴く。老婦人も現れた。そこへ電話。老婦人が亡くなったと。葬式の日。彼女はケイと二人で抜け出して川原で時間を過ごす。そしてまた元の日常に。しかし彼女もケイも目から光線が...


路線バスの中。そこで見かけた不思議な老婦人。なぜか気になって、バンドの練習なんか放っぽらかしてストーカーのようについていく。老婦人は彼女にだけ見えたのでしょう。誰か波長の合う人間を探していたのかもしれません。

終点に着いた時は真っ暗。いったい路線バスに何時間乗っていたのでしょうね。老婦人の姿は見えず、地図の書かれたメモと謎の楽器。地図はあっても知らない町。お腹が空いたので寂れたコンビニで菓子パン一つ。このシーンがなぜか印象深いのです。自分も旅先で侘しい菓子パンが昼食だった経験が何度も。

たどり着いた家の老人に楽器を見せると、老人は女性を家に入れます。すぐに少年もやって来た。とにかく少年役の佐藤結良君の発する色気のようなものが凄い。ムンムン。女性と少年が一目で繋がってしまったのが判ります。もう少し出番が欲しかった。

元の暮らしに戻った二人。しかし何かあると目から光線というかビームを発射します。これはどういう意味なのか不明でしたが、金子監督が作品について語るyoutubeによると、大切な記憶を忘れないよう映写しているそうです。さすが映画人!

たどり着いた家に少年がやって来た。
この家に住む老人の孫なのか。
まるで家族のようにテーブルを囲む。
左端が主人公の女性。右端はバスにいた老婦人(幽霊?)


8mmフィルムを引き出して見る少年。
(8mmとかカセットテープとか、レトロがお好き)
女性はこの家に泊まる事になった。
シーツで戯れる少年と女性。


翌朝。バスに乗って帰っていく2人
昨日あった老婦人は亡くなっていた...
老婦人の葬儀の後、女性と少年に変化が。
目からビーム発射。これは記憶を映写している...



※後記
映画の1/3近くが路線バスの中のシーン。監督さんは路線バスに思い入れがあるのでしょう。路線バスといえば、TV東京系の人気番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」が好きでした。あのユニークでわがままだった漫画家の蛭子能収さんのキャラ。しかし今では蛭子さんも初期の認知症とお聞きして。そんなお年だったのですね。





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