今、会いにゆきます (2004年)

作品総合評価 6点
少年の出番 60%(準主役)
寸評 悲劇の未来を知りながらも...切ないラブストーリー
【少年映画でない理由】男女の愛が主題であること。
映画情報など 2004年公開。DVD発売中。
写真は武井証君。


映画『ぼくとママの黄色い自転車』などの主役作品もある少年俳優の武井証君が注目された最初の作品。そして昨年(2020年)お亡くなりになられた竹内結子さんが本当に女優として輝いていた作品です。

実は、見よう見ようと思いながらも未鑑賞の作品でした。こういう純愛モノはそれほど興味のあるジャンルではありませんし。でもヒロインの竹内結子さんが衝撃的な自殺を遂げられたという事実。本作品は単なるラブストーリー以上の切なさを感じました。

死んだ母さんが帰ってきた。まだ誕生日でないけれど、7歳の誕生日を祝って貰った。
(♪わーたしの誕生日に22本のローソクを立て...こんな古い歌を思い出したりして...)

父(中村獅童)と2人で暮すユウジ(武井証)は6歳の優しい男の子。母(竹内結子)は1年前に亡くなった。最後の言葉は、1年後の雨の季節に戻って来る。梅雨を待ち侘びる父子。そして...思い出の工場跡地に母が現れた。でも母はユウジの事も父の事も覚えていない。

家に帰り、2人からこれまでの出来事を聞く母。記憶は戻らないが、母は2人に深い愛を示してくれた。こうして数週間は家族3人の夢のような時間だった。やがて梅雨が明け母は去っていった。ユウジが埋めていたタイムカプセルの箱の中から取り出したのは母の日記だった。そして秘密が明らかになる…

■実はタイムスリップのお話(ネタバレ)

もう有名な作品ですので、ネタバレしてしまいます。
高校生時代の父(浅利陽介さん)は陸上競技に没頭。同級生だった母は父に恋心を抱いていたが別の大学に進学。それでも文通は続けた。父は神経の病気が判明し、陸上競技も母との交際も断念した。

母が20歳の時、交通事故で意識不明。なんと9年後の未来へタイムスリップ。自分が死んで1年後と聞かされ、見知らぬ少年がお母さんと...その世界で数週間暮した後、母は20歳へ戻った。自分は28歳で死ぬのだろうか...もしも彼と結婚しない人生を歩めば違う未来になるのだろうか...

母は決意した。28歳で死んでもいい。彼と一緒になろう。彼の元へと急ぐ。今、会いにゆきます...

父と母は結婚しユウジも生まれ、幸せな時間を過ごした訳ですが、自分が28歳で死ぬという運命をどう考えていたのでしょう。あれは夢に過ぎないと否定していたのか、それとも8年間を精一杯、密度の濃い人生を送ろうと思っていたのでしょうか...(私は後者だったと思っています。)

まだ幼いけれど武井証君の存在感は抜群でした。中村獅童さんや竹内結子さんを前に堂々とした演技。父に対して友だちのような態度で接します。病気を持つ父にとって自分が重荷にならないよう感じているのでしょう。亡くなった母がそういう育て方をしたのに違いありません。

最初と最後に、18歳になったユウジ(平岡祐太さん)が登場。反抗期?それ何?って感じの好男子。父を労りながら料理をする姿が優しくて...タイムスリップしてきた母が18歳の誕生日まで予約してくれたケーキが届きます。いいなあ、こんな父子。

母が死んで父子二人だけ。ユウジは父に甘える?
いえいえ、体調の悪い父に気を遣っているのです。
もうすぐ梅雨。死んだ母は帰って来るのかなあ...
(この家のてるてる坊主は、逆さまに吊るします)


思い出の工場跡地。ユウジは見つけた!
お母さんがぼんやり座っていた(幽霊じゃなくて)
もうお母さんを離さないよ...
(母はユウジの事をおぼてなかったけれど...)


ユウジが隠していたタイムカプセル(下の箱)
そこには母の書いた日記があった。
今度は本当のお別れよ。また来年も来るよね...
母は何も言わない。二人とも目に涙を浮かべるだけ...



※後記
本作品の後、今度はテレビドラマ化されました。両親役は成宮寛貴さんとミムラさんに代りましたが、武井証君はそのまま続投。やはり存在感や演技力が評価されたのでしょうか。





▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼第5部トップへ戻る