約束のネバーランド (2020年)

作品総合評価 C
少年の出番 80%
寸評 ストーリーは面白い。でも1回みればOK。
【少年映画でない理由】主人公は少女
映画情報など 2020年国内公開。BD/DVD発売中。
写真は城桧吏君。


少年ジャンプ連載漫画の実写映画化。ジャンプでは珍しく少女が主人公のお話。城桧吏君が準主役との事で楽しみにしていました。しかし公開後は城桧吏君に酷評の集中砲火。本当にお気の毒でした。でもセリフを除けば、城桧吏君の存在感は出色。

施設の中でレイは一人でいることが多かった。何を考えているのか。

近未来の日本。美しい山里の孤児施設。孤児たちは不自由なく生活している。最年長のエマ(浜辺美波)、ノーマン(板垣李光人)、レイ(城桧吏)の3人は施設での年限が近づいている。ある日、エマとノーマンは、里親が見つかって出ていく少女が、鬼のようなバケモノに殺されるのを目撃する。

ここは孤児院ではなくバケモノに出荷する食肉養殖場だった。エマはノーマンとレイに全員で脱出する計画を打ち明ける。施設の周囲は塀と崖に囲まれている。施設長と密通したスパイもいて計画は難航。先行したノーマンは行方不明。それでもエマは計画を実行した。

 キャスト問題。大手の邦画が世界で通用しない一因

原作では主要キャスト3人は11歳。映画では16歳に変更。これは仕方ありません。それなら16歳に見える最適キャストを選ばないと。結果的にエマは19歳、ノーマンは18歳、レイは13歳。なぜこんなにバラバラ。日本の芸能事務所の事情なのでしょう。監督が選ぶ権利は無いのかもしれません。

一番割を食ったのが城桧吏君。『万引き家族』で世界に注目された子役ですが、彼自身の演技力ではなく是枝裕和監督の丁寧な指導の賜物。ろくに演技指導もせず、彼の名前だけを目当てにキャスティングされたに違いありません。

結果として一人セリフ棒読みで浮いてしまいました。本作はまるで彼を貶める嫌がらせみたいなもの。それでもですよ。城桧吏君の少年らしい表情と目力は、3人の中で一番際立っていました。既に成長してしまったエマやノーマンには決して出せない魅力です。(ノーマン役の板垣李光人さんは童顔で声も16歳っぽくて良かったとは思います。)

城桧吏君擁護のために少し辛口になりました。でも映画のストーリー自体は大変楽しめました。山田悠介さんの小説に似たような話があった気もします。映画は脱出するところまで。続編があれば、ぜひ見たいと思っています。

左からノーマン、エマ、レイ。同じ年齢には見えません。
(18歳のお兄さん、19歳のお姉さん、13歳の中学生)

レイは施設長のスパイだった。それが負い目でもあった。

灯油を頭からかぶるレイ。マッチを擦った瞬間、エマが阻止。(この目の迫力は大したもの)

エマに説得されたレイ。城桧吏君の顔は絵になるなぁ...


※後記
主役3人以外の子どもたち。白い衣装は先ごろ亡くなられた Ivan Noel監督の『Limbo』を思い出します。これは本当に不気味な作品。それに比べると本作はどこか甘いのです。まるで天てれドラマのような。こども達の中に、てれび戦士のゲンタ君がいたせいかもしれません。





▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼第5部トップへ戻る