ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 (1999年)

作品総合評価
少年の出番 約5割(やや高年齢ですが、準主役の一人)
寸評 ガメラを憎む少女。それを諭した少年。
【少年映画でない理由】女性と少女が主役です。
映画情報など 1999年公開。UHD/BD/DVD発売中。
写真は小山優君。


昭和ガメラは少年映画でした。必ず日本人少年となぜか外国人少年(白人)がペアで登場。一方、平成ガメラの1、2作には少年は登場せず、女性研究者と(ガメラと交信できる)女子高生が重要な役を占めていました。この3作目も前田愛さんがヒロインと聞いていたので鑑賞せずにいました。

最近になってWOWOWで鑑賞したのですが、中学生役で小山優君が熱演。出番も多く、ストーリー上も重要な役どころ。しかしその後の扱いが奇怪?と言っていいほどに無視されているようで。Wikiによればプロフィール情報もなく、映画のメイキングにも殆ど登場しないとか...何かあったんでしょうか。

京都に現れた怪獣イリスと対峙する少年と少女。伝家の宝刀を手にしているが、あっけなく吹っ飛ばされた。
(この時、少女はまだイリスに洗脳されており、ガメラを憎んでいた。)

前作でのガメラとレギオンの戦いで両親を亡くした綾奈(前田愛)と弟(伊藤隆大)は親戚の家で暮す。ガメラを憎む綾奈は同級生のタツナリ(小山優)の家にある洞窟で不思議な卵を発見。タツナリは卵の危険性を説くが、綾奈はこっそり卵を育てる。怪獣イリスの卵だった。憎きガメラをイリスが倒して欲しい!

その頃、全世界でギャオスが大量発生。育てたイリスは本性を現し、襲われた綾奈は意識不明に。ギャオスとイリスは京都を襲う。ガメラがやって来るが苦戦。タツナリは家に伝わる宝刀を持って京都に行き、イリスに立ち向かう。それを機にガメラが反撃してイリスを倒した。意識が戻った綾奈は自分が間違っていたと悔やむ。


本作は登場人物が多く群像劇とも言えます。ですので、上に書いたストーリーはヒロインの1人とその同級生の少年にフォーカスしたもので、映画全体のストーリーはWikipediaなどをご参照下さい。

平成ガメラシリーズの第1作、第2作を見ていた方が判りやすい事は確かです。もちろん本作だけ見ても理解できますけれど。映画全体の主人公は中山忍さん演じる研究者。ガメラやギャオスは超古代文明の時代に創造された生き物との事。本作で登場するイリスはギャオスが突然変異して進化した怪獣。

一つ感心したのは自衛隊の攻撃が、少しですが怪獣にも通用する事。これまでの怪獣映画に出てくる自衛隊の航空機や戦車は全く歯が立たない存在。本作では自衛隊の全面協力で撮影されていますので、それに配慮したのかもしれません。ガメラが人類を守る戦闘とはいえ、人間にも大きな被害を与える事を批判的に描いているのも本作が初めてでしょうか。

さて少女ヒロイン役の前田愛さん。学校で馴染めず、イジメを受けてもめげない男勝りな性格の少女をよく演じていました。ただ早々にイリスの攻撃で意識不明になりベッドで寝たきり。クライマックスの戦いには出てきますが、あまり活躍出来なかったのが、少女俳優ファンには不満だったかもしれません。

それに対して同級生役の小山優君。少女を助けて(この時は少女を襲った変質者と間違われましたが)、自分の家に代々伝わる宝刀を持ってイリスに立ち向う姿は完全にヒーローでした。あまり有効な攻撃は出来なったのですけれど。映画パンフレットにもスルーされるなんて可哀想。

さてもう一人。前田愛さんの弟役を演じた伊藤隆大君。個性派俳優として活躍中の伊藤淳史さんの実弟。両親を亡くした寂しい少年役ですが、役以上に寂しく見えました。僅か21歳で自ら命を絶たれたとの痛ましい話を聞いたからかもしれません。活躍を評価されなかった小山優さん、そして伊藤隆大さん。本作は少年俳優にとって因縁のある作品。

ガメラに両親を殺された綾奈と弟。
奈良の親戚に引き取られたが、表情は暗い。
弟も暗い性格になり、友人もいない。
(演じた伊藤隆大さんは21歳で他界。合掌。)


祖母から洞窟に伝わる話を聞くタツナリ。
洞窟に邪神を封印。それを動かしてはならない。
イリス幼獣に姉が捕まり意識不明に。
救急車に同乗する弟。もう家族は姉だけなのに...
(兄の伊藤淳史さんよりイケメン)

宝刀を抱いたまま放心状態のタツナリ。
ある男が声をかけた。京都に行くんだ。
イリスに吹っ飛ばされたが、結果的にはイリス撃退。
少女もイリスの洗脳から目が覚めた。



※後記
本編で活躍しながらプロモーションでは無視された小山優君とは対照的に、しっかり推されたのが安藤希さん。小山優君演じるタツナリの妹役ですが出番は少なめ。しかしキャストロールには(新人)とのテロップ。昭和時代の映画のような感じで。期待の大新人だったようで、本作のあと立て続けに『さくや妖怪伝』『富江』などに主演。

しかし平成3部作も興行的には厳しく本作で終了となりました。7年後に元の少年映画路線に戻した『小さき勇者たち ガメラ』が作られましたが、これも興行的には苦しく、以降は現在まで製作されていません。しかしコア?なファンの間では本作『ガメラ3 邪神覚醒』が1番人気があるようです。





▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼第5部トップへ戻る