| 製作年・国 | 2020・中国 |
| 少年映画評価 | S |
| お薦めポイント | 少年少女と殺人犯の息が詰まるサスペンス |
| 映画情報など | 2020製作 2021年WOWOWで放送 （写真は朱朝陽役のロン･ズーシャン君） |
中国のWebで配信されるや大人気を博したドラマ。映画ではありませんが、映画以上の出来なのでここでレビューします。日本では2021年にWOWOWで放送。全12話ですが、集中力が途切れる事なくあっという間に全話視聴。最後が終わって主役の朱朝陽ロス状態に...
中国ドラマなんて、どうせ共産党のプロパガンダだろう、誰が見るか！と思っていました。少年が主役との事で、まあどんなものだろうと見たのが失敗。後を引く引く。特に美形ではありませんが、中学生の朱朝陽にめちゃくちゃ感情移入してしまいました。
WOWOWのタイトル画像より。左から厳良、普普、朱朝陽、犯人の教師2005年の中国。中学生の朱朝陽(ロン･ズーシャン)は学年トップの優等生。両親は離婚。母と2人暮し。夏休み初日、幼なじみの厳良(シー･ポンユェン)が普普(ワン･ションディー)という少女を連れて施設を脱走してきた。3人は近くの山に登りビデオで記念撮影。そのビデオに、男が高齢男女を突き落とす瞬間が映っていた。
男は朱朝陽の数学教師。厳良はお金を取ろうと計画。施設を脱走したのは、普普の弟の治療費の工面のためだった。教師に警告状を渡した。しかし一筋縄ではいかない。一方、朱朝陽の義妹が転落死。義妹の母は朱朝陽を犯人だと騒ぎ出す。朱朝陽を殺そうする男。厳良を保護しようとする警察官。次第に事件は複雑になるばかり。
ネットドラマでは米国の『ストレンジャー･シングス』も大人気でした。でも本作は超能力もSFも怪物も登場しません。人間ドラマだけでこれだけのサスペンス。しかも主役は少年たち。中国でも少年が主役のドラマは殆どないそうですが、本作は中国で社会現象になるほど大ヒットしたとか。
普普(プープー)は超美少女。でも弟には里親が現れましたが、彼女は施設暮し。男児を欲しがるのは中国の1人っ子政策の弊害。しかしその弟が白血病。里親には(骨髄移植)治療費がありません。それを聞いた普普。私だったら良かったのに。これは天使のような本心なのか、それとも...
普普を妹のように思う厳良はその言葉を聞いて激怒。子供は全て大切なんだ、二度とそんな事言うな。カッコいい。演じたシー･ポンユェン君は15歳とは思えぬ筋肉質。彼の父は逮捕されて更生施設。逮捕した警察官は厳良の事をずっと心配している。この警察官が本当にいい味を出していました。
そして朱朝陽役のロン･ズーシャン君。声も低くそれほど美少年ではありませんが、なぜか彼に感情移入。すぐに自己主張せず我慢して内にため込む性格がいじらしくて。でもそのおかげでかなりの黒い闇も持っています。
筋肉のキの字も無い華奢な身体。憂いを帯びた表情は色気というか、なぜか虐めたくなるのです。製作者もそれを判っているのでしょうか、彼は虐められ、何度も殺されそうになります。特に親友だった厳良に胸ぐらを掴まれてシャツが捲れて貧相な胸が丸見えになった時はゾクゾクしました(変態かも)。
書きたいエピソードは山のようありますが、ここまでにします。とにかく中国アレルギーのある方も少し我慢して一度見てみて下さい。こんな少年ドラマを作れない日本はやっぱりダメになっていく...なんて思ってしまいますよ。
夏休み。朱朝陽に友だちはいない。
厳良が普普を連れて施設を脱走。
少年宮の5階の窓。ここから義妹が転落。
教師の家で交渉する朱朝陽と普普。
思わぬ方向に事件が展開。悩む朱朝陽。
厳良を保護しようとする警察官。優しい男だ。
朱朝陽を責める厳良。なぜ嘘をついた！
犯人との最後の決戦に向かう朱朝陽と厳良。※後記
最終回。朱朝陽は母とこれまで通りの生活。厳良は後見人となった警察官に引き取られて将来を語ります。俺は警察官になりたい。普普も弟と骨髄の型が合致して無事移植成功。全ては夢のよう。ところが大どんでん返しが示唆されます。本当にいやーな感じで。これまで完全に被害者として描かれていた少年、朱朝陽の闇の部分が。そして全ては見果てぬ夢。厳良も普普もその弟も死んでしまったのでは。気になる方は是非ともご覧になって下さい。