オリバー! (2021年)

上演年・場所 2021年・梅田芸術劇場(大阪公演)
舞台評価
お薦めポイント これぞミュージカル。舞台の隅から隅まで目が離せず。
関連情報など メディア化なし。youtubeに関連映像あり。
(写真はオリバー役の高畑遼大君)


2020年『ビリー・エリオット』でミュージカルにハマり、2021年の本作『オリバー』を本当に楽しみにしていました。2021年12月7日の昼公演を鑑賞。もう本当に大満足!

オリバーとドジャーはクワトロキャスト(各4人)。しかし大阪公演の子役キャストはなかなか発表されません。待っていたのではいい席が無くなってしまうので、チケット発売とほぼ同時にネットで購入。オーケストラ・ピットがあるので実質は前から4列目。もう最高の席でした。

オリバー役は高畑遼大君。ドジャー役は前年にビリー役を演じた川口調君。他にもビリー役を演じた中村海琉君、マイケルを演じた河井慈杏君など魅力的なキャストが大勢。日本人少年の舞台俳優。これだけ層が厚いとは信じられない嬉しさです。

ミュージカル『オリバー!』公式サイトより。

英国の救貧院で暮す孤児オリバー(高畑遼大)は食事のお代りを要求して管理者は激怒。葬儀屋に売られてしまう。オリバーは葬儀屋を脱走。ロンドンで年上の少年ドジャー(川口調)で出会い、スリの親分フェイギン(市村正親)の仲間に。だが最初のスリで失敗して捕まる。しかしスろうとした相手の紳士はオリバーを引き取った。

フェイギンはオリバーが自分たちの事をバラすのではと疑心暗鬼。スリ仲間で凶暴なビル・サイクスがオリバーを消そうとするが、オリバーを助けたナンシーは殺された。ナンシーはスリ少年たちの母親的な存在だった。ビルは警察に射殺され、フェイギンたちはバラバラに逃走。そしてオリバーは死んだ母が判明。あの紳士の娘だった。

(1968年の映画『オリバー!』に詳しいストーリーを書いていますので、そちらもご参照下さい。)

 大人の舞台と、少年の舞台のベストミックス

タイトルは「オリバー!」ですが、オリバーだけの少年ミュージカルではありません。どちらかと言えば、泥棒フェイギンと情熱の女性ナンシーの二人の方が主役です。それでは少年ミュージカルを期待していたファンが失望する? いえいえそんな事はないと思います。オリバーもドジャーも本当に素晴らしい。

休憩含めて3時間もの長丁場。それでも1秒たりとも無駄な場面はなく緊張感が持続しました。ダンスシーンでは数十名が舞台狭しと動きますが、端っこの方にいる幼い子役も真剣勝負。気の抜けたような演技をする人間は誰一人いません。やはりロンドンなど海外の舞台で厳しい観客の洗礼を受けてきた本場のミュージカルの脚本と演出は違います。

公式サイトより川口調君
 少年俳優たち

オリバー!役の高畑遼大君。最初に登場した時はオリバー!というオーラがなく、その他大勢の子役の一人という感じでしたが、歌声を聴いてビックリ。これこそ汚れのない天使の声そのもの。この声を聞けただけでも高額なS席の値打ちは十分。(ケチくさい話ですみません。)

そしてドジャー役の川口調君。もう彼がいないと舞台が締まりません。常にオリバーをリードする少年で、老獪なフェイギン役の市村正親さんを向こうに回して対等以上の存在感。前年のビリー役はみれませんでしたが、既に13歳なのに声はソプラノを維持しています。キレのいいダンスとパンチ力ある歌声。ずっと見ていたい。(彼の特技のバトン演技も少しだけ披露してくれました)

前年のビリーで共演していた中村海琉君と河井慈杏君も間近で見れて幸せでした。中村君は完全に声変り。河井君はまだソプラノを維持していると思うのですが、声は確認できませんでした。でもスリ少年役以外に、サーカス団の少年役として2人で息のあったダンスシーンは圧巻でした。

 ラストシーン

ストーリーは1968年版の映画『オリバー!』と大きくは違いません。ただ本舞台のラストシーン。泥棒のフェイギン。子分の少年たちは去り、命の次に大切にしていた宝箱は川に落としてしまい、もう老齢の身をひとり寂しげに去っていくところで終わりました。

フェイギンの最後は不幸。そんな終わり方です。泥棒という犯罪者なので幸福になってはいけないのかもしれません。しかし映画版では、最後に去ったはずの少年ドジャーがやってきてフェイギンの手を取り、やり直そうとスキップするように去っていく希望のあるシーンでした。

川口調君がやってきて市村正親さんと抱き合いながら去っていく。そんなシーンも見たかった。


カーテンコールは撮影可。でも動き回る俳優を写すテクニックはありませんでした。
(なぜか後ろ向きばかり。中央右で横を向いているのがオリバー役の高畑遼大君)

ドジャー役の川口調君とオリバー役の高畑遼大。かろうじてツーショットが撮れました。
後ろは左から、ビル・サイクス(spiさん)、フェイギン(市村正親さん)、ナンシー(ソニンさん)

中村海琉君。もう身長は大人並み。でもはじける笑顔は健在

中央でメガネをかけているのが河井慈杏君。歌声をもう少し聴きたかった。



※後記
オリバー4人、ドジャー4人。全員見たい。組合せを考えたら更に大変。でも全員が英国の本部でOKが出た?メンバーですので誰でも遜色ないはず。そう思ってチケットを購入しました。前年のビリーエリオットはS席でも後方。今回は実質4列目。これで同じ値段かと(またケチ臭い)。でもやっぱり前方の席がいいです。ワガママ

あとオーケストラ・ピットでオーケストラの生演奏。この音響も近くなので迫力がありました。前年のビリーエリオットの時も生演奏だったのでしょうが、全く記憶はありません。録音を流していたとばかり思っていました。
もう一つおまけ。開演前に注意事項のアナウンスが流れます。これが非常にきれいで可愛い少年の声。出演者の誰かだと思います。多分録音でしょうけれど。もしかして生?




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