トム・ソーヤーの冒険/銀河鉄道の夜 (2016年)

初回放送・製作 2016年5月4日より・BS朝日(あらすじ名作劇場)
作品評価
お薦めポイント 世界の名作文学を現代の日本少年がドラマで再現
関連情報など 未メディア化。再放送なし
(写真はトム・ソーヤー役の土師野隆之介君)


BS朝日の「世界の文学がわかる!あらすじ名作劇場」という番組。全くのノーマークで、たまたまTVをつけたら日本人少年がトムソーヤーの冒険をやっていたので、慌てて録画ボタンを押したのですが、番組の頭と尻の部分の録画が出来ていません。(これがレビューを書く上で大変な失策)

日本を含む世界の有名な文学作品を判りやすく解説し、あらすじをドラマで再現してくれる番組です。ドラマは、古今東西の物語を(全放送を見ていないので判りませんが)現代の日本に舞台を変えて、等身大の身近なストーリーにしてくれるので、文学に疎い人にも大助かり。

本来なら毎週チェックすべきところ、年のせいかすっかり忘れてしまい、気がついたら最終回(2017.3.22)も終わっていました。再放送もありません。BS民放なんてクダラナイ!通販CMばかりなのに、こんないいコンテンツを全く再放送しないなんて。商業放送の限界。WOWOWへ版権を貸してあげたら・・

毎回2,3作品が取り上げられます。私が見たのはトム・ソーヤーの冒険銀河鉄道の夜。何と魅力的な作品ではありませんか!他にどんな文学が取り上げられたかは、BS朝日ホームページか、wikipediaを参照して下さい。少年俳優が出演していそうな作品も多くあり、本当に残念です。
風の又三郎だけはyoutubeに上がっていましたので、見る事ができましたけれど。)

カズヤ(ハック)とマサキ(トム)は町のチンピラ(インディアンジョー)の秘密を見てしまった。
■トム・ソーヤーの冒険

アメリカの児童文学の原点ともいうべきマーク・トウェーンの名作。続編のハックルベリー・フィンの冒険と合わせて何度も映画化されています。私も小学生の頃に読みましたよ。今の小学生はもう読まないのかもしれません。残念ですけれど。そういう訳でごく簡単にストーリーを。

中学生のマサキ(原作ではトム・ソーヤー)は両親を亡くし叔母の家に引き取られて暮らす天真爛漫な少年。カズヤ(原作ではハックルベリー・フィン)は両親も親戚もいない孤児でホームレス少年。でもマサキとカズヤは大の親友だった。ある日カズヤは猫の死体を探すためにマサキを誘って夜の墓地へ出かけた。

そこで町のチンピラ(原作ではインディアンジョー)の殺人現場を見てしまった。後日犯人とされたのはカズヤの知り合いのホームレス。カズヤの反対を押し切ってマサキは通報。真犯人のチンピラは逃走して捕まらず、2人は不安な日々。

そんな中でもマサキはクラスの美少女(原作ではベッキー)に誘われて町の洞窟探検に出かけるが迷ってしまう。そこで遭遇したのはあのチンピラ。この洞窟は連中の隠れ場所だったのだ。

 キャストが判りません

ドラマ部分は20分もありませんが、短いわりに非常によくまとまっていて原作の雰囲気を味わえます。トムは普通の中学生。ハックは学校にも行かないホームレスの孤児。これは現代日本ではあり得ない境遇ですが硬い事は抜き。(子どもの貧困が問題なので、ひょっとするとそんな孤児もいたりして)

残念なのが、番組の頭と尻が録画できなかったのでキャストロール(あったかどうか不明)を見れなかったこと。演じている少年俳優の名前が全く判りません。子役さん情報に詳しい人なら顔で判るかもしれませんが、現実生活の中でも人の顔を覚えるのが苦手な私はちょっと無理。

トムを演じたのは、ホクロから藤本哉汰君だと思ったのですが、彼の公式サイトの出演履歴を見ても掲載されていませんので、違う子役さんかもしれません。見たことがあるタイプの子役さんなんですけどね。ハック役の子は全く見当がつきません。

名前は判りませんが、いいドラマ部分だったと思います。トムとハックの日本版映画を作って欲しい。(ないものねだりとは判っていても)

有名なペンキ塗りのエピソード。マサキはうまい事を
言って友人にペンキ塗りをさせ、お菓子までせしめる。
カズヤは学校にも行かないホームレスの孤児
薄汚い格好をしているが、マサキは好きだった


裁判で証言するマサキ。
(最初は藤本哉汰君とも思ったのですが)
中学生ですが、まだまだ可愛い。
(土師野隆之介君だったとは気づきませんでした)


※少年俳優名が判明しました。
ノースエンド先生からメールがあり、トム役は土師野隆之介君、ハック役は横山幸汰君でした。土師野君は『
ロック わんこの島』『最後の命』、横山君は『武蔵野S町物語』でレビューを書いていたのに。そう言われれば面影はしっかり残っています。有難うございました。


■銀河鉄道の夜

これはもう書くまでもなく宮澤賢治の超有名小説(童話)。何回も映画やアニメで映像化されていますが、ジョバンニとカムパネルラを少年同士で演じられたものを知りません。そういう意味でこれは初の少年同士による銀河鉄道の夜といえるでしょう。

中学生のケン(ジョバンニに相当)の父親は船員で航海から戻って来ず、母は病気がちのため、姉と2人でバイトしながら家計を支えている。トシ(カムパネルラに相当)は家族ぐるみで付き合う大親友だったが、中学に入ってトシの取り巻き連中からケンの貧乏をからかわれ、ちょっと離れてしまっている。

星祭の夜、母から祭に行っておいでと言われて行く。やっぱりトシの取り巻き連中に嫌味を言われ、一人で原っぱに寝転んでいると突然光の柱が。気がつくと銀河鉄道の座席にトシと二人でいた。ケンはもうずっとトシと二人っきりで旅をしたいと切望するが・・やがてトシはいなくなった。現実世界に戻ってみると、トシは川で溺れて。

 思ってたのとちょっと違うのですが・・

もう銀河鉄道の夜のストーリーなんて書く必要もないのですが、つい書いてしまいました。完全にジョバンニのカムパネルラに対する同性愛に近い物語なのですが、映像化するに際して、どうもその辺り(同性愛)をうやむやにして避けてきたように思います。猫にしたり、片方を少女にしたりと。

今回は初めて男子中学生同士が演じるのですが、二人の印象が思ってたのと違うのです。BL的な要素を排除し、まるで部活の仲間みたいな軽い雰囲気。もちろんBL要素は私が勝手にイメージしているだけで、宮澤賢治氏がこれを見てもそんなものだと思うのかもしれません。

これは「トム・ソーヤーの冒険」と同じ回の放送ですが、明らかに力の入れ方が異なります。はっきり言えば「銀河鉄道の夜」は少し手抜き。ドラマの時間も少なく、なんといっても肝心の銀河鉄道の部分が紙芝居なのにはがっかり。しかもかなり雑な絵(作者の方にはすみません)でした。

トム・ソーヤーと同じく演じた少年俳優の名前はネットで検索しても判りません。しかし二人はよく頑張ったと思います。一度真剣にオーソドックスな「銀河鉄道の夜」を少年俳優で作ってくれる映画会社はないものでしょうか。

中学生のケン(ジョバンニの役)
ちょっとイケメン過ぎるような
中学生のトシ(カムパネルラの役)
ちょっと思っていたのと違う雰囲気


銀河鉄道の中は残念ながら紙芝居
(予算が無かったのか、かなり雑な絵)
(座席もクロスシートでなくロングシート.手抜き)
現実に戻ったケン。トシが溺れたと聞かされて。
(青春ドラマの1シーンのようで雰囲気good)





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