張り子の虎 (1983年)

初回放送・製作 1983年8月23日・日本テレビ系列
作品評価 誘拐モノ。サスペンス性はやや乏しい。
お薦めポイント ちょっと小悪魔的な少年がいい。
関連情報など 火曜サスペンス劇場枠。DVD発売中。
写真は六浦誠君。


「張り子の虎」と聞くと安藤一人君が出演したイギリス映画『 太陽に架ける橋 ペーパータイガー』が思い浮かぶのですが、本作は当時よくあった2時間サスペンスドラマ。Amazonで昭和の名作ライブラリーというシリーズを検索していて、たまたま目に止まった作品で、思わずDVDを購入。

駆け出しカメラマン(柴田恭兵)にまとわりつく少年(六浦誠)

小学生のイチロー(六浦誠)は何不自由ない裕福な家庭の子どもだったが、子どもを顧みない両親や受験勉強に嫌気がさしていた。駅のベンチにいた(自称)山岳写真家の西村(柴田恭兵)に付きまとい、とうとうアパートまで転がり込んだ。翌朝、家へ帰るんだぞ!とイチローと別れたが、夕方にはまた戻ってきた。

頭に来たが、どうしても憎めないイチローに困ってしまう。そこへ誘拐事件報道。イチローの両親に身代金要求があった。訳が判らないまま西村は逮捕。それでもイチローが無実を証言してくれると思ったが、なんと知らん顔。窮地に陥るが、真犯人が逮捕されて釈放。もう子どもはコリゴリだと...


駅のホームにカバンも持たず手ぶらの少年が一人。少年は女性を見るとニコッと笑って近寄ります。さすがに気味が悪いと思ったのか女性は無視して立ち去ります。その次、目に入ったのがベンチに座る売れないカメラマン。少年はまたニコッと笑って隣に座ります。これってまるで夜の◯◯(職業)

柴田恭兵さん演じるカメラマンはヒマラヤなど世界の山岳写真を撮るのが夢。アパートに飾られた大きな写真。少年はそれを見て一目惚れ。ちょうだいコレ。壮大な風景は(ちょっとヒネた)少年の心も虜にしたのでしょう。しかしカメラマンは駆け出しでお金はない。口では豪語するけれど中身は...張り子の虎。

少年役の六浦誠君。1982年のビッグマンモス解散後、色々なドラマや映画に引っ張りだこ。どの作品でも、はじける笑顔の奥に、ちょっと影がある、ちょっと病んだような表情。これが小悪魔的で印象に残る子役さんでした。(40年あまり経った今、映画『怪物』の柊木陽太君がちょうどそんな雰囲気を持っていて、六浦君を思い出しました。)

ネタバレですが真犯人は塾の経営者。イチロー少年の元家庭教師。警察が聞き込みに来て、イチロー少年が行方不明な事を知り、あわよくば身代金をと思ったとの事。塾の経営がうまく行かず借金苦のため。


見知らぬオヤジに笑いかける。
なんだ、このガキ。無視。
見知らぬ女性に笑いかける。
なに、この子。気味悪い。無視。
カメラマンの男は違った。
少年に優しく相手をしてくれた。


男の乗る電車に一緒に乗り込む少年。
男はカメラマンの仕事を自慢げに話す。
小腹が減った。屋台のおでん屋まで一緒に。
(この頃のドラマで屋台で一杯は定番)


次の日の夕方。アパートの階段に少年はいた。
さすがに男は困惑した。家へ帰れよ。
男は誘拐容疑で逮捕。少年は警察の事情聴取に...
言われるままにうなずいた。男を庇う様子なし。


一番お気に入りシーン。男が仕事をしている間、少年はずっとぼんやり座って待っていた。



※後記
このドラマの時代、誘拐といえばお金持ちの息子。身代金目的の誘拐と決まっている感じでした。ただ女性の場合には性的暴行が目的の誘拐も多かったかもしれません。しかし現在なら、このドラマのイチロー少年のような行動をしたら...






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