少年俳優や少年タレントは随分と増えたと思うのですが、少年が主役を務める映画は殆ど無くなってしまいました。映画は、若いイケメンや新進女優さんの独壇場。彼ら彼女らは俳優という道を選んだ以上、仕事を取ってこなくてはいけません。子供ごときに重要な役を与えている場合じゃないんでしょう。
そんなこともあり、青輝賞はもう止めようとも考えています。2019年も同じような状況が続けば、今回発表する2018年でもう最終とします。
(該当なし) | (どんな作品でも、出来る限り選出しようと思ったのですが残念です) |
1.望郷 Homesick | 東北大震災で亡くなった息子の幽霊が切ない。→ review (2023年に追記) |
2.泳ぎすぎた夜 | 物怖じしない6歳の少年の演技ではない演技が秀逸。→ review |
3.星めぐりの町 | 東北大震災でトラウマを負った少年と老人の交流→ review |
4.かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発 |
父を亡くした少年、夫を亡くした女性の新たな旅立ち。→ review |
参考.万引き家族 | 血の繋がりの無い家族に満ちているものは。→ review |
城 桧吏 (11) | カンヌのパルムドール受賞の影の立役者。世界にアピール。 |
生駒 星汰 (9) | 「望郷 Homesick」での可愛くも切ない演技。(2023年に追記) |
古川 鳳羅 (6) | 「泳ぎすぎた夜」での圧倒的な存在感。 |
荒井 陽太 (11) | 「星めぐりの町」での静かな中にも思いを込めた演技(年齢は推定です) |
歸山 竜成 (10) | 「かぞくいろ」での可愛さは特筆モノ。 |
大西 利空 (11) | 「blank13」での出番は僅か。それでも印象は強烈でした。 |
年度ごとの映画のレベルの差は無視しても、必ずその年の最優秀作品賞を選定しようという方針でした。でももうそんな情熱が私には無くなってしまいました。2018年にも少年映画はあるにはあったのですが、申し訳ありません。
ただ少年俳優が主役である、出番が多い、美少年である、それだけでは何か虚しいものが残ります。やはりストーリーがあるものでないと。
今年もそうですが、少年映画といえるものはミニシアター系や学生映画だけ。予算不足、時間不足、監督さんの経験不足、などが重なってストーリーが薄く、雰囲気やムードで勝負するような作品になりがち。私はこれも好きなのですが、やはり物足りません。
■2018年少年映画ベスト3について1位は「望郷 Homesick」に変更しました。2022年になってネット配信で初めて鑑賞したもので、短編ですが、心にズシーンと衝撃を受けました。東北大震災をテーマにした作品は多いのですが、亡くなった息子を探す少年。ただのクソガキに見える息子の幽霊が、どんなに父を気遣っていたか。本当に泣かされました。
2位は「泳ぎすぎた夜」としました。6歳の幼い少年が雪の中を歩いて父の職場へ行く。それだけのものですが、まず映像がすばらしい。演技をしない少年の自然な姿も好感が持てます。映像詩という表現がぴったり。でも脚本、セリフ、起承転結、そんな映画としての基本的なものがもっと欲しかった。
3位は「星めぐりの町」。東北大震災でトラウマを負った少年が、初老の男性のもとで少しずつ自分を取り戻していく物語。主人公の少年は殆ど言葉を発しません。小林稔侍さんの演技に助けられた部分が多く、少年映画としてはやや物足りない面も感じます。
4位は「かぞくいろ」。唯一のメジャー系(松竹)作品。人気女優の有村架純さんがメインですが、少年俳優の歸山竜成も1/3近くは主役でしたので、かろうじて少年映画としました。上記2作品に比べると、やはりこれが商業映画。完成度が全く違います。でもそれだけに何か忘れてしまったものがあるような...
もう一つは「万引き家族」。是枝監督の会心作で遂に念願のカンヌで最高賞パルムドールを獲得。国内でも相当な話題になり、地味な映画の多い是枝作品としては過去最高の興行収入とか。是枝監督の思想信条と全く逆のフジTVがバックアップしているのも妙なところ。城桧吏君は大変印象に残りますが、やはり群像劇。少年映画とは呼べません。
■2018年個人賞について
【最優秀少年俳優賞は城桧吏君】
これは非常に迷いました。出演作が少年映画でないのに最優秀賞に選出していいかと。でも世界各国で日本の少年俳優をアピールできたのは、あの柳楽優弥さん以来。演技などはまだまだこれからですが、これからどんな俳優さんになっていくか楽しみな逸材だと思います。
【優秀少年俳優賞は5名】
「望郷 Homesick」の生駒星汰君。後出しジャンケンで1位にしたようで心苦しい面もありますが、やはり素晴らしい。おちゃらけた笑顔と切ない顔のギャップがたまりません。
「泳ぎすぎた夜」の古川鳳羅君。たぶん本人は演技しているつもりは全くなかったのかもしれません。監督さんや演出の賜物。今後も少年俳優を目指しているのかどうかは判りませんが、人生の大きなメモリアルになったのではないでしょうか。
「星めぐりの町」に主演した荒井陽太君。現代的な美少年ではありませんが、平安や鎌倉時代の絵巻物に出てくる童子のような純日本的な表情が印象に残ります。セリフが殆ど無かったので演技力はよく判りませんが、今後も頑張ってほしい少年俳優の一人。
「かぞくいろ」の歸山竜成君。「きやま」という性をよめる人が何人いたのか...それは別にしてとにかく可愛い、それだけ。有村架純さんの隣にいても輝きは全く変わりません。少年俳優が可愛いのは僅かな期間だけ。あとは実力をつけて成長していって欲しい。
「Blank13」もかなり期待していた作品でしたが、残念ながら少年時代は10%もありませんでした。そんな僅かな出番でしかないのに輝いていた大西利空君はさすがです。本当に数多くの映画、TV番組、CM等に起用されながらチョイ役ばかり。チョイ役プリンスでは本当に勿体ない。なんとか少年のうちに後世に残る主演映画を残して欲しい。