鉄人28号 (2005年)

少年映画評価 9点
作品総合評価 6点
少年の出番 100%(主役)
お薦めポイント 池松壮亮君の熱演
映画情報など 2005年公開/DVD発売済


ロボットアニメの元祖の1つ、鉄人28号の実写映画は、ずっとずっと待ち続けていたものでした。テレビ創世記にモノクロ実写版が放送されたという話も聞きましたが、見た事はありません。生身の少年が演じる正太郎を見れるなんて。

■ストーリー

正太郎(池松壮亮君)は私立の小学校に通う普通の少年だが、超高速動体視力という特殊な能力を持っている。これが元でイジめられたりもしている。ある時、悪科学者が日本征服を図るため、ロボットを使って破壊工作を始めた。

そんなある日、正太郎の前に、正太郎の亡き父の使者が現れて、秘密工場に連れて行き、鉄人28号を見せ「これを操縦するのは君しかいない」と告げる。正太郎は「僕には出来ない」とイジイジするが、結局は操縦し、1回目は相手ロボットに散々にやられてしまった。

その後、女性天才科学者(蒼井優)が現れたりしながら、自分の特殊能力を生かして再度鉄人28号を使って、悪科学者とロボットに挑むことになる。

■超不評で興行的には大失敗、でも

これほどファンからバッシングを受けた作品もないでしょう。CGが酷い、正太郎がしゃきっとしていない。でもそうでしょうか?自分が天邪鬼なのかもしれませんが、この作品ほど、少年映画の王道を行く作品はないと思います。

CGの出来なんて問題でないんです。池松君演じる正太郎が、臆病でネガティブな少年から、勇気を出して物事にぶつかっていく少年に変身していく様子が、爽やかな汗とともに感じられる作品です。色々なサイトの酷評に惑わされず、是非1度みて下さい。

■池松壮亮君の魅力

あまり好きな言葉ではありませんが、いわゆる「ショタコン」の語源になったのが、この鉄人28号を操作する正太郎少年で、その役を演じたのが池松壮亮君です。

酷評の中には、正太郎がイメージと違うとの批判もありました。確かに少女マンガに出るような美形ではないかもしれませんが、池松君は、この正太郎を真正面から演じ、その熱演ぶりは、もの凄く魅力のある少年でした。

この時点で既に、映画「ラストサムライ」、ミュージカル「ライオンキング」など実績を持つ実力派子役でしたが、同世代の子役にここまでの演技はできないのでは、と思います。

■富樫森監督の演出

この映画を援護してきましたが、確かに不満もあります。富樫森監督の演出は確かに少し泥臭すぎる部分が目につきました。関西を舞台にした映画「ごめん」では、泥臭いモターッとした少年の、成長を描き、高評価を得ましたが、それと同じ下町の庶民派少年のノリで、作ってしまった感じです。正太郎は、もう少しハイソな感じで演出しても良かったと思います。

■蒼井優、川原亜矢子は不要

あと、やはり映画なので仕方がないのでしょうが、女科学者の蒼井優、謎の悪女、川原亜矢子が、お色気を担当していますが、本当に必要だったのでしょうか。たまには、女の子抜きの映画だっていいんじゃないでしょうか。

■DVDスペシャルエディションは絶対買いです!

興行は失敗したので、当然DVD販売も不振だったのでしょうか、今でも店頭で鉄人28号のスペシャルエディション(BOX)が置いてあるのを見ます。自分は少ない財布の中身をやりくりして、2つも買いましたが、皆さん、店頭で見つけたら絶対に買いですよ!

失敗した映画ですから、今後二度とスペシャル版が発売される事はないでしょう。「あの時、買っときゃ良かった」と後悔しても遅いですよ。特典映像がgood。オーディション時の池松君のセリフはさすが。また落ちてしまいましたが、本郷奏多君もオーデションに参加。池松君との2ショットは、お宝映像だと思います。(何か、DVD会社の回し者みたいになってしまいましたが)

■音楽も素晴らしい

全編を流れる音楽は、千住明氏の作曲で、本当に素晴らしいシンフォニーです。もちろん、アニメ時代からの、あの主題歌「ビル〜の街にガオ〜」もフルコーラスです。「鉄と勇気」「信じて進め」など、いちいちタイトルが素晴らしい。このサントラCDも是非買って下さい。




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