おとこのこ (2010年)

少年映画評価 8点
作品総合評価 5点
少年の出番 100%(準主役)
お薦めポイント 2人の少年が自転車で。ラストが爽やか。
映画情報など 2011年公開/DVD未発売
(写真は、清水尚弥君)


2011年10月29日、ユナイテッド・シネマ浦和(埼玉)にて鑑賞

第1回浦和映画祭で上映された作品です。本作は2010年の制作で、公開は今年2011年。毎年5作品が製作されるndjc、8月24日に大阪の梅田で「RAFT」など3作品が上映されて鑑賞したのですが、1番見たかった本作「おとこのこ」は見れず、この映画祭を楽しみにしていました。

まず1本目が「きみは僕の未来」。次が大阪でも鑑賞した「逆転のシンデレラ」、そして3本目が本作「おとこのこ」。どういう観点で3本を選んだのか判りませんが、主役は小学生、高校生、そして本作は中学生が主役。監督は松永大司さん。

■ストーリー

強烈なイジメを受ける、賢(清水尚弥君)と透(吉原拓弥君)の2人の中学生。特に少女のような賢にイジメが集中するが、透は自分を守るのが精一杯。賢はとうとう自殺まで考え始める。追い詰められて自棄になった賢。ふとしたことから家庭教師のお姉さんのバイクに乗り、おっぱいを触ってしまう。

なんと、それで吹っ切れました。おっぱいパワー恐るべし。こう書くとコメディみたいですが、決してそうではありません。重いシリアスな話。でも最後に希望の光が見えます。

■主役は二人の中学生

この映画の特徴はなんと言っても酷いイジメのシーン。ここまで描かなくてもいいのではとも思います。特に暴力だけでなく性的なイジメも。ズボンを脱がされるのは序の口で、2人で自慰競争(どちらが先に出すか)を強要されたりと。

それと清水尚弥君の美少年ぶり。撮影当時は15歳くらいだと思いますが、まだまだ完璧と言っていいほどの美少年でした。もちろん私の主観ですが、最近リバイバル中の映画「ヴェニスに死す」のビョルン・アンドレセンさんよりも好みです。もし「ヴェニスに死す」の日本版があれば適役かも。

相手役の吉原君も美少年です。ただ年齢的に少し上の印象でした。彼は2008年の映画「ぼくのおばあちゃん」の頃が中学生としてベストだったと思います。私は基本的に少年俳優個人には思い入れをしないように心がけていますが、最近の少年俳優の中では清水尚弥君がどうも気になります。髪の長い少女のような少年にコンプレックスがあるのかもしれません。

そんな清水君が、この映画ではズボンを脱がされ、自慰を強要させられます。後姿だけですが、目をつぶって感じている顔がアップになったり。苛めが終り、吉原さんと二人だけになった時、いきなり吉原君に「キスしてよ」と言い出します。なんと本当にキスまでします。

ちょっとこれはやり過ぎかな。女性対象の非現実的なボーイズラブ系の話になってしまいそうです。それでも最後のシーン、一方的にやられるだけだった2人がついに反抗、でもボコボコにされます。その2人が1台の自転車で疾走するシーンは感動ものでした。最後はストップモーション。「独立少年合唱団」のように。

清水尚弥君。まだほほがふっくら
ねえキスしてよ。仕方ないなあ

■監督さんによるトークショーなど

上映後、今回上映の「きみは僕の未来」「逆転のシンデレラ」「おとこのこ」の3人の若手監督と、ndjcのプロデューサーの4名の方でトークショーがありました。お決まりの自己紹介や近況報告の後、会場からの質問タイムになりましたが、これが少し問題です。

プロデューサーの方が「3作の中でどれが1番面白かったですか」という質問で、手が上がらないと「そこの方」といってランダムに観客を指すのです。その結果、少年映画ではない「逆転のシンデレラ」ばかりになってしまいました。これはコメディですから面白いという意味ではそうかもしれません。30分という時間の使い方が1番うまかったのも確かです。

でも、こんなふうに比較されるのは、ちょっと違うかな。面白いのと心に残るのとは違いますし、この映画を見て自分に何が残ったか、得たものがあったか、なんて人それぞれですし。もちろん、最近の学校教育のような、順位をつけないおかしな平等性なんかを指示する気もないのですけれど。とにかく松永監督、浅野監督のお二人、めげず少年映画を撮って欲しいものです。

■追記 スカパーで放送されました。

このndjc作品はDVD化もされず、もう二度と見れないのかと残念に思っていましたが、2015年になって、BSスカパーで全作品が一挙に放送されました。全作品は無理ですが、少年映画だけは録画することができました。





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