マタギ (1982年)

少年映画評価 B+
作品総合評価 B+
少年の出番 ほぼ100%
お薦めポイント 雪深い山奥。巨大熊とマタギの老人、そして少年の戦い。
映画情報など 1982年公開。DVD発売中。
写真は安保吉人君。


ガキ大将行進曲(1979年)などを製作した青銅プロダクション作品。熊を追う猟師とその孫の少年を丁寧に描いた映画。テレビでみた記憶はあるのですが、DVDが発売されている事に気づいて改めて鑑賞しました。ネタ的には「老人と海」、「白鯨」などの小説と同じですが、しっかり脚本された名作です。

売れ残った秋田犬のチビ。タロウは自分の子供のように可愛がり、そしてマタギ犬にしようと育てる。

秋田の山村で暮す小学生のタロウ(安保吉人)。祖父(西村晃)は腕のいいマタギだが、巨大な渡り熊と遭遇して負傷。以来その巨大熊を追う事に執念をかけていた。飼っていた秋田犬が4匹の子供を出産、3匹は業者に買われていった。売れ残った1匹をタロウはチビと名付けて、マタギ犬にしようと一生懸命育てる。

1年が経ちチビはマタギ犬の素質をみせる。冬になり巨大熊が人里を襲った。祖父はチビを連れて一人で猟に出かけるが、タロウもたまらずついていく。祖父は帰れと怒鳴るが、最後は根負け。雪に閉じめられて困難の末、巨大熊を仕留めた。しかしチビは祖父を守って犠牲となった。タロウは泣き崩れるが、自然の掟だった。


マタギ役の西村晃さんが本当に好演。他の猟師はスコープ付きライフル銃で500m先の獲物を射止める。しかし祖父は日清戦争当時の村田銃を使う頑固一徹。命をいただく熊にも敬意を払わないといけない。そんな祖父も年には勝てず、村のクレー射撃大会では惨敗。

誰も近づき難い爺さんだが、孫のタロウだけは別。口はそっけないが孫の少年が可愛いのは当たり前。そして秋田犬の売れ残りチビ。祖父も最初は匙を投げていたが、タロウが親身をかけて育てるうちに、チビの中にマタギ犬の血筋を見出す。

すると爺さん、手のひらを返してチビをタロウから取り上げてスパルタ教育。タロウは抗議するが、祖父に認められたことは嬉しいので、何とも言いようがない。熊との最後の対決にチビを連れていく。秋田にはヒグマはいないのですが、この巨大熊はヒグマより大きいとの設定。

タロウ役の安保吉人君。堂々の主役演技。学校では結構おちゃらけ?で先生に立たされる常連組。冬の農閑期、父は出稼ぎ。そんな父がお土産をいっぱい持って帰ってくると、駆けて行って父の胸に顔を埋めるところはまだ幼い少年。母はいない設定ですので、父や祖父が頼り。もちろん姉も。

1年間手塩にかけて育てた秋田犬のチビ。祖父の村田銃の1発目が急所を外れ、熊が襲いかかってきた時、熊の前に飛び出して祖父を助けます。2発目で熊を倒しましたが、チビは熊のツメに引き裂かれ...米映画なら負傷しても犬も死にはせずハッピーエンド。まだ1歳の秋田犬を死なせてしまった事に本作の意気込みを感じました。

飼っていた秋田犬が4匹の子供を産んだ。
4匹とも可愛い。左はタロウの姉。
しかし母犬が臨終を迎え、自ら家を出ていった。
祖父は言った。マタギ犬は死ぬところを見せない。


この犬はダメだ。売れ残ったチビ。
タロウはチビを育てようと誓った。
秋田の短い夏。タロウは遊びもせずチビの世話。
タロウの親友2人にも手伝わせた。なかなかやるなぁ...


祖父は巨大熊との対決にチビを連れて行く。
タロウも無理やりついてきた(足手まといですが)
間一髪。巨大熊を倒した。でもチビは...
祖父の胸で泣きじゃくるタロウ。祖父も同じ気持ちだ...



※後記
全く関係ありませんが、父役を演じたのは山田吾一さん。息子の名前はタロウ。これってテレビドラマ『ふしぎ犬トントン』と同じ設定。今とは全く違った子役時代の坂上忍さんが懐かしい。また本作で駐在巡査役を演じた伴淳三郎さん。坂上さんのドラマ『太陽は沈まず』で「巨大サメのマオ」と言っていたシーンが重なります。殆どの方は知らないでしょうけれど。




▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼第3部トップへ戻る