NEO PORTRAITS (2023年)
少年映画評価 |
B+ |
作品総合評価 |
B |
少年の出番 |
100% |
お薦めポイント |
AIで蘇る亡き人。果たしていいのか。 |
映画情報など |
2023年、短編映画フェス参加。無料配信あり。 写真は原田琥之佑君。 |
SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2023で公開された短編映画。近未来のAIがテーマですが、何と言っても映画『サバカン』の原田琥之佑君が単独主演。それだけでも十分嬉しい作品です。
その日、タクミは担任の女性教師と話し合った。心が通じた気がした。
すでに日が暮れていた。タクミは先生を振り返る。これが生きている先生を見る最後に...
近未来の日本。中学生のタクミ(原田琥之佑)は母を亡くした。しかし母は電子ポートレートとなって毎日タクミや家族に話しかけてくれる。AIを使って生前の母を再現。しかしタクミはそれが嫌いだった。本当の母が忘れ去られていくようで。でも中学の担任の女性教師は判ってくれる気がしていた。
教師の家庭訪問の日。祖母はポートレートの母に対応させた。タクミは呆れて家を飛び出す。次の日、教師はタクミと話し合った。その夜、教師は交通事故で急死。学校は教師のポートレートを作った。タクミ「お前なんか先生じゃない」 先生(AI)「私もそう思う」
iPadのようなディスプレイに故人の生前の顔が動画で表示されます。もちろん表情や会話も自然で、まるで生きているような姿。遺族からみれば故人を亡くした悲しみが薄らぎ、癒されるのでしょう。当然ながら学習機能もあるでしょうから、生前の記憶だけでなく新たな記憶も加味されて成長。
しかしそうやって成長していったAIの故人は、亡くなった故人とは別人。そして本当に愛していた故人は忘れられていく。これが本作のタクミ少年が嫌だったこと。判る気もします。
学校の教科書やノートは全て電子化。中学生たちは紙の書籍なんて見た事はない時代。担任の先生は紙の本を持ってきます。私はこれで読むのが好きなの。その本をタクミに貸してくれました。(これってエコ贔屓じゃないの?)
原田琥之佑君。サバカンの頃より成長しましたが、まだまだ少年真っ只中。ただ作品ではずっと仏頂面。もう少し笑顔とか、感情を表に出してくれたらとよかった。なんて贅沢でしょうか。また是非とも映画に出て欲しいところです。
朝ベッドから渋々起きるタクミ。
母が死んで以来、気力が失せていた...
登校前に母の遺影に手を合わせる。右は祖母。
遺影の母はAIで話しかけてくれるが、嫌だった。
学校でもタクミはどこか浮いていた。
時々、辛辣な言葉を投げかける。
先生が家庭訪問に。タクミは結構不安だったが...
祖母は自分で話さずにAIの遺影に対応させた。
先生が突然亡くなった。どうすりゃいいのか。
左は先生が貸してくれた本(一房の葡萄)
先生のAIポートレイトが完成した。
お前なんか先生じゃない!
※後記
SHORT SHORTS FILM FESTIVALのスポンサーはNTT。電話や通信の会社というイメージでしたが、今ではAI関連の事業に軸足を移そうとしているのでしょうか。AI技術といえば海外に圧倒されている様子ですので、是非とも日本の尖兵となって頑張って欲しいものです。