主人公は小学生(田中大智)。母はある思想?にのめり込んでいる。この宇宙は三角形で出来ており、計算によればこの宇宙は、あと2週間で消滅し、新たな宇宙が生まれる。なので息子には学校で勉強しなくてもよいと言う。息子はそれが本当なのか図書館やインターネットで調べ、それを宿題の自由研究としてまとめた。
学校での発表の前に練習として母の前で発表。このような考えはいんぼう論と呼ばれている。うちの母が信じるようになったのは、父さんがいなくなった時から。でも僕は母さんを愛してる。母は息子を抱きしめた。
| お薦めポイント | カルト宗教か妄想にのめり込む母。息子は母を思いやりつつも普通の世界で生きたい葛藤 |
| 少年の出番 | 8分の短編ですが、堂々の主役です。 |
| 映画情報など | 2025年の第17回下北沢映画祭他で上映。U-NEXTで配信中。写真は主役の田中大智君。 |
先にレビューした映画『oppo』と同じく第17回下北沢映画祭で上映された作品で、U-NEXTの配信で鑑賞しました。たった8分の作品ですが、1回目見た時はなかなか入っていけず「これは映画?」と思ったのですが、2回目でなんとなく理解できました。万人受けはしないと思いますが、私は結構好きです。
主人公は小学生(田中大智)。母はある思想?にのめり込んでいる。この宇宙は三角形で出来ており、計算によればこの宇宙は、あと2週間で消滅し、新たな宇宙が生まれる。なので息子には学校で勉強しなくてもよいと言う。息子はそれが本当なのか図書館やインターネットで調べ、それを宿題の自由研究としてまとめた。
学校での発表の前に練習として母の前で発表。このような考えはいんぼう論と呼ばれている。うちの母が信じるようになったのは、父さんがいなくなった時から。でも僕は母さんを愛してる。母は息子を抱きしめた。
これを書いているのは2025年の暮れ。おりしもある重要事件の裁判が始まっています。犯人の母親が新興宗教にのめり込み、家族が崩壊したことが動機の一つだと言われています。この事件が本作品制作のモチーフになっているのかどうかは判りません。
映画冒頭。息子は理科のテストで100点を取りました。月の満ち欠けに関する問題。母はそのテストをみて褒めるどころか「どうしてわざと間違ったの?」と糾弾。宇宙が三角と信じている母にはテストの正解は間違い。息子は(本当の正解を書いて)学校で目立ちたくなかったのか。これは同調圧力なのね。
地球と月と太陽の位置が正三角形になった時、この宇宙(次元)は消滅して新しい宇宙(次元)が生まれる。母の計算では2週間後。母と父と息子がまた親子になれるように頑張らないといけない。この辺の理論?はよく聞き取れませんでした。だいたい地球から太陽の距離を考えれば正三角形なんかになる訳ないと思うのですが。
息子が色々調べた結果、辛い事などで現実逃避をする人間が信じる陰謀論。母がこうなったのは父がいなくなってから。でも息子はそれを指摘して悲しませたくない。この葛藤に少しウルッとなりました。
※後記
少し昔。2000年に入った頃でしょうか。スピリチュアルな思想が流行り出し、色々な書籍も発売されました。スピリチュアル専門の文庫シリーズも。何冊か買って読んだ事があります。その中でキーワードとして出てきた言葉がアセンション。次元上昇とでも訳すのでしょうか。この映画とよく似ていますが、アセンション出来る人間は限られており、そうでない人間は滅んでいく。なんとなく選民思想のようで好きになれませんでした。私はきっとアセンション出来ない人間。