銀河鉄道の夜 I carry a ticket of eternity (2006年)

少年映画評価 1点
作品総合評価 2点
少年の出番 50%(酷い脇役)
コメント 谷口美月さんのPVでした
映画情報など 2006年公開/DVD発売済


原作はもちろん有名な「銀河鉄道の夜」です。ところが、DVDパッケージには、背中も表紙にも大きく「主演 谷村美月」と印刷されています。そうなんです!これは女優、谷村美月さんのPV以外の何物でもありません!

■ストーリー

単なるPVなので、ストーリーなんか書きたくないんですが、名作「銀河鉄道の夜」を現代風にアレンジしたつもりの映像です。高校生のジョバンニ(谷村美月さん)は、病気の母と2人暮らし。ジョバンニは小学生の時、みんなから苛められていたが、唯一かばってくれたのが、カムパネルラ(市川男寅くん)だった。

小学校の同窓会があり、久し振りにカムパネルラに会いに行くジョバンニ。その途中。ふと居眠りをしてしまったジョバンニが目覚めると、そこは銀河鉄道の中。そこには小学生のままのカムパネルラがいた。2人はあてもなく列車に乗っていると、鳥商人やタイタニック号の遭難者が乗ってくる。(この辺は、ほぼ原作通りです)

しかし1人また1人といなくなり、とうとうカムパネルラもいなくなった。気がつくとジョバンニは元の世界に。しかしカムパネルラは川に落ちて戻って来ない。

■映画のレベルには達していません。

とにかく「演技」していません。セリフも動作も「本読み」状態(ひょっとすると、そういう演出だったかもしれませんが、演出だとしたら、なおさら大失敗です)。主役の谷村美月さんは、実力派のはずなんですが、どうしたんでしょうね。厳しい言い方をしますが、セリフも動作も「やる気」が全く感じられません。

あの名作「銀河鉄道の夜」のジョバンニ役ですよ!この名誉ある役を、わざわざ少年を押しのけて女性が演じているんですよ!もっと真剣にやって貰わないと、これは宮沢賢治氏への冒涜だとさえ思います。

次にカムパネルラ役の市川男寅くん、彼も同じです。よく知りませんが、市川姓は、伝統ある日本の古典芸能の関係の方かもしれません。

もう少し何とか出来なかったのでしょうか。もっとも市川君はまだ子役ですので、彼の責任ではなく、スタッフの責任です。(ひょっとすると、谷口さんを引き立てるために、わざと酷い出来にさせられたのでしょうか・・なんて邪推さえしたくなります)

■「銀河鉄道の夜」への鎮魂歌

本作の監督は「銀河鉄道の夜」の文学性を、前衛藝術の舞台のように演出したのかもしれませんが、本当でしょうか。原作のジョバンニとカムパネルラは、友情を越えて同性愛に近い感情すら感じられ、それが魅力の一つになっています。ところがこの作品では、ジョバンニ(谷村美月さん)一辺倒で撮られており、カムパネルラはその辺の小僧以下の重みしかありません。

やはり、ジョバンニに女性を配したのが、間違いだと思います。まあ「銀河鉄道の夜」を撮るのではなく、谷村美月さんを撮るために、たまたま「銀河鉄道の夜」を題材として使ったのなら、仕方ありませんけど。

前にも書きましたが、一度、本当に少年俳優を使って、正統派の「銀河鉄道の夜」を真剣に撮ってくれるような監督さんはいませんか?そんな時代は日本には来ないのでしょうか。

数年前のTVドラマに「あいくるしい」というのがありました。このドラマの中で、神木隆之介君と本郷奏多君が、天文台で星空を見上げながら、2人並んで座っているシーンが何度かありました。この2人なら「銀河鉄道の夜」ができるんじゃないか。そんな事を思ったものです。

■最後に。よかったところ

第4部とはいえ、辛口ばかりになってしまいましたが、良かったところも少し書いておきます。銀河鉄道の乗客になった斉藤洋介さん(鳥商人)、松田洋治さん(タイタニックで遭難した青年)、この2人は、全く次元の違いを見せつけたプロの俳優さんでした。

特に、松田洋治さん、ずいぶん久し振りです。名子役でした。まだ「少年ぽい面影」がほんの少し残っていたのを見て、微笑ましく思ったものです。この2人の演技をきちんと見て勉強して下さいね。>市川君。





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