作品総合評価 | 5点 |
少年の出番 | 60%(準主役をはじめ出演者多数) |
寸評 | 裁判は無事終了。でも救われない少年が一人 【少年映画でない理由】少女映画である事 |
映画情報など | 2015年公開。DVD/BD発売中。 写真は死んだ中学生役を演じた望月歩君 |
少年映画ではありませんでしたが、前篇の出来が良かったので、平日の夜ですが、仕事が終わってから見に行きました。前篇に比べると前評判が低いせいか、観客はごく僅か。2時間半もある長編なのに、鑑賞前にトイレに行き忘れ、途中仕方なく中座するはめに。(これから見られる方、鑑賞前にお手洗いを忘れずに)
前篇で謎の死を遂げた中学生の真相を究明すべく、中学生だけの裁判が行われた。死亡した少年の言動や行動を警察顔負けの捜査。また裁判官役の神原が、死亡した少年と友人であったこと。容疑者と目された不良少年が無実であることは証明が進んだが、中学生死亡の真相はどうなったのか。
■ストーリーは完結に向かうのですが前篇で辛口批判した神原少年役の板垣瑞生君。結論から言えば、後篇は彼が主役でよく頑張りました。まあセリフは裁判での質問など「読む」場面が大半なので、棒読みでも違和感なかったのは幸いです。彼はイケメンですが、俳優には向いていないかも。(所属事務所スターダストプロモーションで、男子アイドルユニットに入っていると聞きましたので、そっちの方へ進むべきでしょう)
やはり特筆すべきは藤野涼子さん。後篇はストーリー的には板垣君の方が主役なのですが、存在感が違います。やはり成島監督が惚れ込んだだけの逸材でしょう。その他の出演者では、判事役の西村君がハリーポッターみたいで好演でした。女性陣ではニキビ少女の母役を演じた永作博美さん、何ともいえず嫌で不快な母親役でしたが、印象に残りました。
前田航基君は似合わない東京弁がマイナス。彼の演じた役は原作ではもっとキーマンだったそうですが、全てカットされて完全な端役になったそうです。成島監督が出演者に送るコメントで、端役になった事を彼に詫びていました。
■納得できないこと。さて、本作でどうしても納得できないことがあります。裁判が終わった後、主人公たち中学生も傍聴人たちも「終わったね」と晴れ晴れした表情で帰っていきます。まるで米映画「十二人の怒れる男」のラストシーンみたいに。ちょっと待って下さい、これは何のための裁判ですか。死んだ柏木君の事はなんにも解決していないじゃありませんか!
ネタバレになりますが、前篇で登場した不良少年、事故で死んだ松子ちゃん、ニキビで悩んだ樹理ちゃんなど、後篇では、みんなそれぞれ解決や出口が見えてきます。でも死んだ柏木君については、全く誰も関心を示しません、寄り添いもしません。彼は単なる精神の病んだヤツとして切り捨てられて終り。
なぜ心を病んだのか。なぜあんな目をしていたのか。死ぬ前に神原君に横暴な事を言いますが、神原君が去ろうとすると慌てます。本当は彼に側にいて欲しい、Stand by me!じゃなかったの?そんな想像が膨らみましたが、一切なにも描かれません。このままでは、柏木君は悪霊となって、呪怨の伽椰子、リングの貞子みたいに学校を彷徨い歩くのではないでしょうか。
■気になった少年俳優、望月歩君実は、柏木君役を演じた望月歩君が妙に気になったからでした。少し舌ったらずで滑舌はよくないのですが、彼のしゃべり方には妙な色気があり、役者としての存在感は板垣君よりずっとあります。もうちょっと活用しても良かったのでは。ねえ監督さん
本作品とは関係ありませんが、NHK「461個のありがとう〜愛情弁当が育んだ父と子の絆〜」での高校生役を演じた望月君の演技にやられました。とにかく可愛かったです。ソロモンの偽証と、NHKドラマの発表シーンの写真を掲載して、本レビューを終わります。