L-エル- (2016年)
作品総合評価 |
5点 |
少年の出番 |
8%(準主役の少年時代) |
寸評 |
欧風の幻想的な世界に住む女の一生 【少年映画でない理由】出番少 |
映画情報など |
2016年製作。BD/DVD発売中 (写真は少年時代のオヴェスを演じた田口翔大君) |
Acid Black Cherry(Janne Da Arc(ジャンヌダルク)というロックバンドのyasuというボーカルの方がソロで活動する時のプロジェクト名)の音楽アルバムを基に映画化された作品。もともとの音楽アルバムにはストーリーがあり、それを丁寧にビジュアル化したとの事です。
申し訳ありませんが音楽も映画も全く知らず、たまたまWOWOWを見ていたら、冒頭に出て来る少年の顔に見覚えが。最後まで見てエンドロールを見るとやっぱり田口翔大君でした。映画「天空の蜂」で印象に残り、2017年は宇宙戦隊キュウレンジャーの小太郎役として、特撮界?ではブレイクしました。
本作品自体は広瀬アリスさんの独壇場で少年の出番はごくわずかです。それでも冒頭シーンだけで十分に印象に残る美少年ぶり。田口翔大君主役でこんな感じの映画を作ってくれたら...
ラ・ヴィ・アン・ローズは色の無い町。海の見える崖で絵を描く少年オヴェス
■ストーリー
ラ・ヴィ・アン・ローズという海辺の町(架空の国)。少女エルは両親を事故で亡くし叔父と叔母に引き取られた。邪魔者扱いされるエルの唯一の心の慰めは、海の見える崖の上で絵を描いている少年オヴェス(田口翔大)だった。オヴェスは顔にアザがあるが寡黙で優しい少年。いつもエルの絵を描いてくれた。しかし二人が少し成長したある日、オヴェス(古川雄輝)はエル(広瀬アリス)の絵を描くのを拒否。エルは嫌われたと思い絶望する。
実はエルは叔父(田中要次)から性的虐待を受けていた。叔母は嫉妬もありエルを自殺に見せかけて家を追い出し、エルは都会へ。ここからエルの不幸な男遍歴が始まった。最初は劇団のクソ男と同棲、捨てられてキャバレーのダンサー、パン屋の住込みなど転々と。最後は親友の女性が犯した殺人の罪を被って刑務所に。
長い刑期を終えたエルはすでに老女。身代わりをした親友の娘がエルを待っていた。二人はラ・ヴィ・アン・ローズの町へ。そこには死の床についたオヴェスがいた。オヴェスがエルの絵を描くのを拒否したのは、あのクソ叔父が絵を見て嫉妬しオヴェスの腕をへし折った事を知る。オヴェスはエルに看取られて旅立った。
■なぜ欧風の家や景色に憧れるのか...
ストーリーは文学でいえば、女の一生(モーパッサン)、嫌われ松子の一生(山田宗樹)、あるいは女性版のレ・ミゼラブル(ユーゴー)といったところでしょうか。広瀬アリスさんが少女から老女までを熱演されています。さすがにメイクとはいえ老女役は似合わない感じでしたけれど。
このように主人公の女性が流れ流れて壮絶な人生を送るのに対し、彼女の本当の恋人である男性は故郷から一歩も出ず(どうやって生計を立てているのか..)ずっと女性の帰りを待っています。ひと昔前の映画から思うと男女逆転(男は冒険、女は待つ)ですが、本作は何の違和感もありません。
違和感があるのはラ・ヴィ・アン・ローズや都会の風景。美しいCGで欧風の街並みが映像化されています。人々の服装も英国風。女性が好みそうな風景。いや日本人の多くが憧れを持っている風景、私もそうですけれど。日本を含めアジアの都市風景は雑多で統一感がなく薄汚く思うのです。
都市の基本デザインという概念が日本には少ないのかもしれません。基本デザインがある都市は年月が経っても美観が残ります。(あくまで美観。清潔かどうかは関係なし。ヨーロッパでも結構ゴミだらけとも聞きます)なお日本でも歴史が残っている田舎の城下町などは、基本デザインがあって綺麗なところはあります。
とにかく絵本のような映画。前半10数分(少年の出ているシーン)だけは保存しておこうと思います。
少女エルは絵を描く少年オヴェスに近づいた
何を描いてるの? ええっ。はにかむ少年
家に帰っても絵を書き続けるオヴェス
(少年の家族とか生活とか...全く判らない)
満月と少年。絵になりますなあ..(左頬にアザがあれど)
(切り札にしてた見え透いた嘘は...)
満天の星。崖に座るオヴェスとエル
(少年のソックスがいいですなあ...)
寝転んで星を見るオヴェスとエル
(横目でエルを見る表情が可愛い)