ゲゲゲの鬼太郎 (2007年)
作品総合評価 |
3点 |
少年の出番 |
50%(重要な役ではあります) |
寸評 |
内容が薄い。30分番組を103分に水増し 【少年映画でない理由】青年の鬼太郎が全て |
映画情報など |
2007年製作。BD/DVD発売中 (写真は幼いながらも熱演の内田流果君) |
鬼太郎の実写ドラマは、1985年にゲゲゲの鬼太郎、1987年にゲゲゲの鬼太郎 妖怪奇伝と作られましたが、映画は本作が初めて。しかし鬼太郎は少年ではなく大人(青年)が演じることになりました。
これも時代の流れなので逆らえません。子供人口の大幅減少に伴い、実写映画で少年を主役にしても興行が成り立つ訳もなし。TVの鬼太郎アニメで育った大人世代を狙ってイケメンと女子高生をキャスティング。(とはいえ日本の映画興行収入は子供向けアニメが独占。子供少ないはずなのにね..)
それでも鬼太郎に手紙を出す7歳の少年を設定してくれた事は、製作側が鬼太郎という作品に対する敬意を持っていた証だと思います。2008年の続作「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」ではそれもなくなってしまいました。女子高生や猫娘のお色気路線。これも仕方ありません。
姉と一緒に鬼太郎の住む小屋にやってきたケンタ
■ストーリー
レジャーランド建設で立ち退きを迫られた団地の子供ケンタ(内田流果)は鬼太郎に助けて欲しいと手紙を出した。一方ケンタの父は工場をリストラされ質屋へ金策に行くが、そこで魔が差して大きな宝石を盗んでしまった。父はケンタに宝石を預けるが、その直後に逮捕され、さらに発作を起こして死亡してしまった。
その宝石はねずみ男(大泉洋)が盗んだ妖怪石。これがないと妖怪世界は大変な事になる。やがて手紙を読んだ鬼太郎(ウエンツ瑛士)が、ケンタと姉(井上真央)の前に現れた。ねずみ男の策略で鬼太郎が妖怪石泥棒の犯人にされて妖怪裁判で有罪に。鬼太郎はケンタと姉を連れて逃げ出す。ケンタは父との約束で妖怪石の事を話さない。
ケンタに父に会わせてくれたら妖怪石を渡すと言われ、鬼太郎はケンタと姉を黄泉の国に連れていく.そこには死んだばかりの父がいた。ケンタは父の胸に飛び込むが...
■鬼太郎を演じたウエンツ瑛士さん
さて一番気になったのは鬼太郎役のウエンツ瑛士さん。まさか欧米系ハーフのイケメン青年が純日本的妖怪の鬼太郎を演じるとは。でも意外にも私は違和感を感じませんでした。これはNHK天てれ時代のウエンツ君の幼い頃をずっと見ていたからでしょう。
企画段階ではJ事務所のある方の名前も上がっていたのですが、この方のほうが癖があって違和感を感じたかもしれません(すみません)。それでもやっぱり鬼太郎は少年俳優が演じて欲しい。
さて少年役の内田流果君。幼いながらも熱演でした。演技力は人気子役だった須賀健太君にも劣りません。本作の後はいくつかの脇役はありましたが、メジャー系作品ではないものの短編映画「ガマゴリ・ネバーアイランド」では堂々の主役。本当に良かった。
そして鬼太郎といえばねずみ男。この小悪党のふてぶてしさ、そしてどこか憎めなさ。大泉洋さんがまさにハマり役。クサい臭いが画面を通して臭ってきそうなリアルな演技。(TVドラマの実写でねずみ男を演じた竹中直人さんも一瞬ですが登場。新旧ねずみ男の共演もサービス)
母のいないケンタの家。地上げ屋の嫌がらせが...
(結局地上げ問題はどうなったの? 手抜き脚本だなあ..)
父に新しいグローブを買って貰った
(この中に妖怪石。絶対秘密だぞ。父ちゃんとの約束)
■TVアニメの完成度を改めて実感
鬼太郎は1968年以来5シリーズで450話。そして2018年からまた新シリーズが放送。私もどれがどのシリーズが覚えていませんが何話もテレビで鑑賞。大人が見ても鑑賞に耐えられるほど面白い。CMを除けば20分程度の番組ですが、起承転結がしっかりと構成されています。
それに比べると本作は103分もあるのに、内容はテレビ1話分よりも薄い気が(言い過ぎか...)。その原因はストーリーに関係ない鬼太郎と女子高生(井上真央さん演じるケンタの姉)とのロマンスめいたシーン。猫娘のお色気シーンも。はっきりいってカットしても何の問題もないのに。
なんて野暮な事を言ってはいけません。先ほど「鬼太郎と言えばねずみ男」と書きましたが、今や「鬼太郎といえば猫娘」となっているようです。これも時代の流れですから仕方ありません。
死んだ父ちゃんに会いたい!
黄泉の国で父ちゃんキャッチボール
(ちょっと見にくいですけれど)
メイキングより。ねずみ男の大泉洋さんと
(大泉さんは子供の扱いが上手い。さすが)
メイキングより。ウエンツ瑛士さんと
(ウエンツ君はぎこちない...)