スパルタ教育 くたばれ親父 (1970年)
作品総合評価 |
5点 |
少年の出番 |
50%以上(出番は多いのですが) |
寸評 |
70年代初頭の世相がよく判って興味深い。 【少年映画でない理由】少年を描いていない。 |
映画情報など |
1970年公開。DVD発売中。 写真は長男役の小池修一君。 |
故・石原裕次郎主演作品。VHSビデオは絶版でしたが、石原裕次郎没後30年企画として「石原裕次郎シアター DVDコレクション」が発売。その28号に本作が収録。古い作品ですが、結構いい画質でした。裕次郎ファンの方はDVDも絶版になる前にお求めになられては。
5人の子供たち。手前は長男と次男。その後ろは末っ子の双子。右奥は母親と妹
田上(石原裕次郎)はプロ野球の審判員。判定内容をめぐって暴言や暴力を受ける事もあったが、田上は毅然とした態度を貫く。田上には5人の子供がいたが放任主義。そこへ出場停止処分をくらった選手の原(渡哲也)が暇にあかせて田上家へやってきた。父に構ってもらえない子供たちは原になつく。
学校で長男が精神不安定児と言われた。田上は態度を改めて子供たちと接する事にした。体育会系のスパルタ方式で。子供たちは音を上げて祖父の家へ逃げ出した。しかし祖父の住む土地では凶暴な暴走族に悩まされていた。そこへ田上と原がやってきた。たった2人で暴走族をコテンパンにやっつけた...
■やられたら、やり返せ!
子供たちがいじめられた。渡哲也さん演じる野球選手が言った言葉。この時代はこれが全てでした。暴力が暴力の連鎖を生むなんてあり得ない。相手は邪で、こちらは正しいのだから。♪邪はそれ正に勝ちがたく...
スパルタ教育とタイトルがついていますが、子供たちの心情が描かれていないのが残念。1人1人のキャラクターを消し、集合名詞としてのこどもが出てくる、そんな感じでした。長男、次男は少し問題児。長女はちゃっかり優等生。末っ子の双子の男の子はひたすら可愛い。そういう設定は判りましたけれど。
興味深いのは学生運動が高校にまで拡がっていたこと。本作でもある高校がストで封鎖されており、主人公たちが押しかけます。中身のない青臭い主張を叫ぶ高校生たちが愚か者にみえました。(原作は石原慎太郎氏という事で納得しました。)
ちょっと思想的な事ばかり書きましたが、映画はごく普通のホームドラマです。同じ石原慎太郎原作、石原裕次郎主演作品では『敗れざるもの』(1964年)の方が圧倒的に素晴らしいと思います。
5人の子供たちのキャスト名。
(ちゃんと配役名も出るのが当たり前)
いじめっ子に反撃する長男。
いじめっ子には勝ったけれど...
(初代はっちゃくかと思ったりして...)
テレビで父親をみる長男と次男
(でも審判はつらい職業ですなぁ...)
父にお尻をぶたれる長男。
左は石原裕次郎さん。スパルタ教育へ転向か。
父親のスパルタぶりに音を上げた3人。
(さすがに下の双子はまだ手加減していた)