リング・ワンダリング (2021年)

作品総合評価
少年の出番 2分ほど(重要な役ではあるのですが)
寸評 戦争と日本オオカミの記憶が宿る土地
【少年映画でない理由】出番過少
映画情報など 2021年公開。DVD発売中。
写真は伊藤駿太君。


劇場公開時は全く知りませんでした。ただTVドラマ「二月の勝者」で双子役(二役)を演じた伊藤駿太君が出演。しかも映画のキャストでは結構上の方に書かれてますので、ちょっと期待してDVDをレンタルしました。ところが写真での出演も含めて数分もなし。それでもノスタルジックでいい映画でした。

山の中でスケッチをしていると、いきなり変な少年が出現した。

草介(笠松将)はバイトをしながら、絶滅した日本狼と猟師の漫画を描いている。狼のイメージをつかむために山でスケッチをしていると、カメラを下げた変な少年(伊藤駿太)が出現。それは狼には見えないと生意気な口を聞く。少年は草介の写真を撮り、狼の写真を撮ったら見せてあげるよ。そう言って去っていった。

建設現場で犬の骨を拾った草介は不思議な女性と出会いレトロな写真館へ。そこで女性の家族と歓談する。また行こうとしたが写真館は見つからない。跡地に立つ写真館で女性も家族も空襲で死んだと聞かされる。疎開していた女性の弟だけが生き残った。その弟も今は寝た切りの老人。そして老人はあの生意気な少年だった。


漫画家をめざす青年。バイト先の建設現場で掘り出した犬の骨。ひょっとしたら狼ではないか?そう思って深夜にこっそり現場で発掘作業。そこへ妙齢の女性。怪我をして女性を背負って辿り着いたのは昭和20年の2月。戦争末期で空襲真っ只中の時代。女性は行方不明になった飼い犬シロを探していたのだった。

青年の服装や髪型。当時なら非国民。まあそんな事はどうでも構いません。厳しい食糧事情の中で女性の家族は青年にドジョウをご馳走。お礼に青年はシロの絵を描いてあげました。疎開している弟が大好きな犬。疎開から帰ってきて悲しまないために。

戦争の時代にタイムスリップする話はよくあります。でも本作はノスタルジックな幻影の世界。戦争の悲惨さは横に置いといて。なんとなく好感が持てるお話です。山で会った生意気少年も犬が呼び寄せたのしょう。青年が描いたシロの絵を老人になっても大事に持っていました。

老人の古いアルバム。そこには山で会ったお兄さんとキャプションの付いた黄ばんだ白黒写真。そこに写っていたのは令和の時代の青年の姿。そしてニホンオオカミと題された多数の写真。でもオオカミは写っていません。ラストシーン。青年はまた山へ。ここで少年がもう1回登場してくれたらなぁ...

青年に向かって発した言葉「だれ?」
(いきなりこんな口きかれたら腹立つわなぁ...)
何描いているの。狼? 似てない。
(いちいちクソ生意気。でも「これ頂戴」ときた。)


ニホンオオカミ撮れたら、お兄ちゃんに見せてあげる。
(生意気と思ったら、可愛いことも言う)
♪古いアルバムめくり...ではないけれど。
あの少年が写っていた。昭和20年なのに。
(少年の左が姉。幽霊になって青年に遭遇)



※後記
本作では現代、昭和20年の他に、明治初年ころが描かれます。青年の描いたマンガを実写化したような感じで。ニホンオオカミが絶滅寸前の時代。映画『マタギ』のような猟師と狼のバトル。





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