正欲 (2023年)
寸評 |
他人には理解されない嗜好。暗く描き過ぎな感じも。 |
少年の出番 |
不登校でyoutuberの少年、中学時代役の少年など... |
映画情報など |
2023年公開。BD/DVD未定。有料配信あり。 写真は潤浩君。 |
映画が気になって先に朝井リョウさんの原作小説『正欲』(新潮文庫)を買って読みました。自分が思っていた内容とは少し違っていましたが、読み応えはありました。自分の悪い癖で、原作を読むともう映画はどうでもよくなってしまいます。日本映画専門チャンネルでの放送を見たのはごく最近。俳優の皆様はよく頑張っていました。
youtubeチャンネルの登録者数が増えて喜ぶヤスキたち。
左から、相棒の少年(大城龍永)、ヤスキ(潤浩)、ヤスキの母。
小学生のヤスキ(潤浩)は不登校でyoutube配信を始めた。エリートの検事である父(稲垣吾郎)は苦々しく思っているが、母はヤスキの味方だった。一方、水に特別な感情を持つ夏月(新垣結衣)は、中学時代に同じ嗜好を持つ佳道(磯村勇斗)と再開し結婚。2人はヤスキの配信もチェック。また同じ嗜好を持つ人間ともコンタクトを始めた。
ヤスキのyoutubeは登録者も増えたが(不審な)常連も現れた。そして水遊び動画をリクエスト。ヤスキと相棒の少年は水着で遊ぶ動画を配信。そこには見知らぬ男たちも一緒に参加。その1人の小学教師が児童売春で逮捕。同じ動画に映っていた佳道たちも逮捕された。事件の担当検事はヤスキの父。佳道は罪を否認し自分は水が好きなだけだと主張。検事は全く理解しない。妻の夏月も聴取されたが...
世の中には様々なフェチ(フェティシズム)の方がおられます。本作で取り上げられているのは水フェチ。水がしぶきをあげて飛び散るのを見ると性的エクスタシーを感じるそうです。別に構わないじゃないですか。パンチラやブルマー、果ては死体フェチなんかに比べたら、それほど世間様にご迷惑をかける訳ではなさそうですし。
ところが本作に登場する水フェチの男女。自分の嗜好が理解されない事に絶望を感じて自殺を考えるほど。暗いのです。新垣結衣さん演じる夏月が頭に浮かぶのは中学生の頃、殆ど話をしたことの無い同級生男子が、水道の蛇口を壊して水が噴き上がるシーン。シャワーのように降り注ぐ水の中で2人はまるでセックスをしたかのように...(蛇口を壊すのは迷惑行為。いや器物損壊という犯罪ですけれど)
この中学生を演じたのは齋藤潤君。翌年の『カラオケ行こ!』で一気にブレイクしましたが、本作ではまだ無名の中学生。セリフも殆どありませんが、シャープな顔つきと鋭い視線が印象に残ります。大人になると磯村勇斗さんになる雰囲気も十分。
一方、稲垣吾郎さんが演じた検察官という社会のエリート。様々な犯罪者と接してダメ人間を山ほど見てきたせいか、弱者の気持ちが読めなくなってしまった。一種の職業病ですね。しかし自分の息子が登校拒否、youtubeにのめり込む。何とかしたくても母親が息子を守る。最後はあきらめた感じです。この母子は社会の落ちこぼれになってしまえ...
息子ヤスキを演じたのは潤浩君。子役演技力の総合デパート?のような少年俳優。本作撮影の頃はまだ幼い顔立ちでしたが、どこか貫禄を感じました。2020年の短編映画『機械仕掛けの君』で監督だった磯村勇斗さんと共演するのも面白い。2人の間にどんな会話があったのでしょうか。
最後に少しイヤな話。自分だけと思っていた水フェチの人が他にもいる事が判り、嬉しくなって一緒に行動します。しかし最後に加わった小学教諭が水フェチ&小児性愛者。なんと小学生男子をホテルに連れ込んで...連れ込まれた少年を演じたのは市川陽夏君。いやな役でしたでしょう。
学校へ行くのを止めたい。ヤスキは父にお願いした。
もちろん父は拒否。話にならない。
しかし結局、登校拒否。youtube配信も始めた。
(ホームボタンがあるのでiPhone8でしょうか)
中学生時代の佳道。演じたのは齋藤潤君。
顔がシャープで目力がありますねぇ..
蛇口を叩き壊して水を浴びる。同級生の夏月も一緒。
(これでエクスタシーを感じるのでしょうか)
防犯カメラの映像(捜査資料)
男と少年がホテルの方へ歩いて行く。
男から押収したビデオ映像(捜査資料)
ベッドに座る少年。上半身は裸。
男の方へ鋭い視線を投げかける少年。
いやだ。やめて。
(おまけ)もう一人の水フェチ男の中学生時代。
朝ドラ「ちむどんどん」の浅川大治君。
暗い作品の中で、彼の元気いっぱいの笑顔が眩しい
後記
上のレビューでは省略しましたが、本作にはもう一人の水フェチの青年が登場します。男性恐怖症の女性が、この青年だけは男性としての恐怖感を感じないと言って告白されます。この青年の中学生時代を演じていたのが、浅川大治君。どこかで見たような気がすると思っていたらNHK朝ドラ『ちむどんどん』のにぃにぃ役。ドラマや役柄は世間から批判の雨あらしでしたが、元気を貰える子役さんでした。