でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男 (2025年)
| 少年の出番 |
主人公の学校の児童役。キーマンの一人ですが出番は少なめ。 |
| 寸評 |
実際の冤罪事件がモチーフ。付和雷同して正義を叫ぶ人間の愚かさと怖さ。映画だけの話にして欲しい... |
| 映画情報など |
2025年公開。BD/DVD発売中。写真は三浦綺羅君。 |
実際に起きた事件を基にした三池崇史監督作品。小学校教諭が自分のクラスの児童を虐待。それを被害者側、加害者側の2つの視点で描いた作品。こう聞くと2023年の映画『怪物』を思い出したのですが、全くテーマが違う作品でした。いわゆる裁判モノ。
屋上のへりに立つタクト。先生から自殺を教唆されたらしい。手前はそれを止めにきた母。
(でもこれは虚言だった)
小学校教諭の薮下(綾野剛)は教え子のタクト(三浦綺羅)に対する心身への暴行容疑で告発された。週刊誌記者がひどく煽る記事を書いた事もあり、世間の非難を浴び、原告側には550人もの弁護団が結成。窮地に陥った薮下だったが、事件に疑問を持つ弁護士が味方になってくれた。
原告側の主張の矛盾を一つ一つ主張した結果、ほぼ無罪に近い判決を得た。しかし(ほんの些細なものだったが)暴行については薮下自身が認めた事もあり、罰金刑が科された。薮下は軽い処分の後、職場に復帰。しかし10年後。その処分も過去に遡って取り消された。
映画冒頭は薮下教諭の不当な言動や暴行シーン。しかし映画の大半は被告である薮下教諭に寄り添う形で進行します。あちこちと視点が変わることはありませんので感情移入しやすい作品。とにかく演じた綾野剛さんの演技力が素晴らしい。綾野さんが悪人な訳がない...そう思う方も多かったと思います。
一方の被害者側。三浦綺羅君演じるタクトですが、最初は可哀想な被害者に見えたのですが、タクトの母親(柴咲コウさん)を見ると、これはちょっと危ないヒトで、すぐにこの事件はでっちあげだと判りました。そしてタクトも実はいじめっ子であった事が画面に流れます。クソガキだったのか...
息子タクトの祖父は米国人で白人の血が流れていると母が告げると、薮下から「汚い血が混じっているのか」と暴言を受けたと主張。実際は「そうですか、それで目鼻立ちがくっきりしているのですね」と先生はお愛想を言っただけなんでしょうけれど。
弁護士は法廷で、原告者の戸籍などを調べた結果、外国人との関係は一才ありません。これは原告者の虚言であると発言します。ええっ!こんな調べればすぐ判る事を、検察や司法関係者は知らなかったの?550人の弁護団はいったい何してたの?
ある意味お粗末な裁判で、薮下教諭はほぼ無実を勝ち取る訳ですが、原告の母親や少年に対しては何のフォローもありません。タクトは本当にクソガキだったのか、あるいは母の精神的影響を受けた、ある意味の被害者だったのか。その辺りは語られません。少年俳優として大活躍の三浦綺羅君にとっても、残念な役だったように思います。
鼻から痛々しい血を流すタクト。
先生から鼻がちぎれる位に引っ張られた?
耳にも大きな傷を負ったタクト。
(これは自作自演なのか、あるいは仮想なのか)
教室の中のタクト(中央の白トレーナー)は傍若無人。左にいる少年を日常的に虐めていた。
(虐められていた少年と母親は最初、証言を拒んだ。そっとしておいて欲しい)
タクトはPTSDとの診断を受けて入院していたが、これも嘘っぱちだった。
(PTSDのテストは母親が代わって回答。医者もどうかしてますわ...)
スタダの浅井陽人君が演じる薮下教諭の息子。父の苦労をみて「自分は教師なんかには絶対ならない」
でも10年後。息子は父の後を継いで教師になった。
※後記
冒頭で書きましたが、やはり映画『怪物』の脚本が優れていることを改めて感じました。本作も綾野剛さんの熱演もあり、いい作品には違いありませんが、少年映画という視点では比べ物になりません。綾野剛さんの息子役でちょっとだけ登場した浅井陽人君ももったいない。
もう一つ。この事件を煽るだけ煽った記事を書いた記者。裁判の結果がどうであれ、全く何もお咎めなし。もちろんジャーナリズムが萎縮するような事があってはいけませんが、記者は無罪となった被告に何らかの謝罪があってしかるべきだと思いますが...
また別の話。2025年の三浦綺羅君の出演作品としては『金子差入店』があります。こちらの方がいい役だと思います。ただこの作品は旧J事務所の方が主役を演じられておりますので、レビューは控えます。