白い馬 (1953年)

製作年・国 1953年・フランス
少年映画評価
お薦めポイント これぞ本当の美少年
映画情報など 2008年、国内リバイバル上映。BD/DVDあり。
写真はアラン・エムリー君。


2008年に『赤い風船』と一緒にリバイバル上映され、私は大阪の梅田ガーデンシネマで鑑賞。戦後の日本でも特に女性に人気のあった作品との事。どちらかと言えば『赤い風船』がメインで本作はおまけか、昔のレコードで言えばB面の扱い。いやいやそんな事はありません。本当に美しい映画でした。

白馬に乗った少年が海辺を疾走する。どこまでも...

南フランスの荒野に野生の馬の群れがいた。群れのリーダーは白い馬。牧童たちがこの白馬を捕獲しようと躍起になっていた。かろうじて逃げた白馬は負傷。近くに住む少年ファルコ(アラン・エムリー)は白馬を介抱。やがてファルコと白馬の間に深い友情が芽生えた。

しかし白馬は牧童たちに見つかった。ファルコは白馬に乗って逃げていく。海辺へ追い詰められた。白馬とファルコはそのまま海を沖へと走っていく...


映画館で鑑賞した時、モノクロ画面は荒れ、音も割れていましたが、絵のように美しいショートフィルムに酔いました。ただ馬のシーンが少し多すぎたかな。私としては主役の少年をもっと観たかった。でも本当に貴重な作品です。

少年は幼い弟と祖父の3人暮し。両親はいません。この時代ですから両親は戦争の被害者だったのかもしれません。3人は質素な生活。そんな中で幼い弟の表情だけは明るくて、なんとなく希望のようなものも見えました。また少年が祖父と弟をみる優しく慈しむような表情が印象に残りました。

傷ついた野生の白馬はもうモノにならないと牧童たちは捨て置きます。少年は馬を助けます。負傷しなければ少年の手に届くような馬ではありません。いやこれも少年と馬の運命だったのでしょうか。

白馬の傷が治り、さっそうと走る姿をみた牧童たちは、少年なんて完全に無視して白馬をまた追いかけます。この辺りは大人のズルさ。でも戦後の貧しい時代、牧童たちも仕方なかったのかも。

祖父と幼い弟のために働くファルコ
(学校に行ってるのだろうか)
今日の仕事を終えた。少し眠るファルコ
(どんな夢をみているのだろう...)


白馬をみつめるファルコ
(あの馬が僕の手に入る訳がない...)
白馬と泳ぐファルコ
(少年と白馬の信頼関係が育まれていく)



※後記
少年の弟を演じたパスカル・ラモリス君はアルベール・ラモリス監督の息子で、1956年『赤い風船』の主役を努めます。なお『白い馬』と『赤い風船』を収録したフランス版ブルーレイも日本で購入できますので、ご興味のある方はお求め下さい。




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