赤い風船 (1956年)

製作年・国 1956年・フランス
少年映画評価
お薦めポイント 戦後のパリの街と少年たち
映画情報など 2008年、国内リバイバル上映。BD/DVDあり。
写真はパスカル・ラモリス君。


2008年に『白い馬』と一緒にリバイバル上映されました。日本で1956年に公開された後は版権問題などがあり公開できなかったそうです。ずっと昔に本作を見てパリーの街に憧れたご婦人方などで、2008年のリバイバルは賑わいました。絵本をみるような美しい小編です。

購入したDVDに入っていた絵ハガキより。サイケな色使い

パリに住む少年パスカル(パスカル・ラモリス)が学校に行く途中、ふんわり浮かぶ赤い風船をみつけた。風船と目が合ったような気がした。なんと風船はパスカルの後をずっとついてくる。学校に行くと、窓の外で待っている。

パスカルと風船は友だちになった。いつも一緒だった。しかし悪ガキどもが風船を攻撃してきた。石を投げられて萎んでいく。パスカルが泣いたその時、どこからともなく風船が集まってきた。やがてその風船に乗ってパスカルは空を飛んでいく...


短編ですが、なんとも示唆に富んだ作品です。多くの方が本作に影響を受けたそうです。日本ではあのいわさきちひろさんによって絵本にもなりました。ラストシーンは何だったのでしょう。少年は風船に乗ってどこへ行ったのでしょうか。

風船が最後を迎えた時、仲良くしてくれた少年にお礼をしたのでしょうか。パリにある全ての風船に呼びかけて集まって貰い、少年に夢の空中旅行をプレゼントしたのかもしれません。

でもなぜファルコにだけ風船が現れたのでしょう。なにかいい事をしたのでしょうか。なにか困った事があったのでしょうか。ごく普通のどこにでいる少年。そこがファンタジー。私にも風船が現れて欲しい。そんな風に思った観客は多勢いたのではと思います。

本作へオマージュと言われている、旧ソ連の巨匠 タルコフスキー監督『ローラとバイオリン』、台湾の巨匠 侯孝賢監督『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』はまだ鑑賞しておりません。鑑賞しましたら、ここで少し追記いたします。

本作品のポスターより
(意外に風船は大きい)
アパートのベランダでも
風船は待ってくれていた
ラストシーン。たくさんの風船
この後、風船で空中旅行に。



※後記
1992年に世間を騒がせた風船おじさん事件。大きな風船を風呂桶につけて飛行したまま行方不明になった男性。その方も本作をみて影響を受けたとの事。でも本作のパスカルのように風船に愛されていたのかどうかは判りません。




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