シルク (2006年)
製作年・国 |
2006・台湾 |
少年映画評価 |
B |
お薦めポイント |
捕獲された少年の幽霊。しかし悲しい過去が。 |
映画情報など |
2006年東京国際映画祭で上映。DVD発売中。 写真はチェン・グァンボー君。 |
本郷奏多君が出演した映画『シルク』の情報を検索していて見つけた同名タイトルの台湾映画。当時はJホラーブームで、台湾でもこれにあやかって製作したのでしょう。日本人俳優も江口洋介さん他が出演。特筆すべきは幽霊は少年であること。呪怨シリーズの俊雄くんよりはるかに出番が多く準主役です。
廃アパートの4階の部屋。少年の幽霊は部屋の片隅で座っている。
(特殊な物質により、幽霊はこの部屋から出る事は出来ない)
物理学者の橋本(江口洋介)は特殊な電磁波を吸収する物質を開発。この物質を使って、ある廃アパートの4階で少年の幽霊(チェン・グァンボー)を捕獲。少年幽霊は目が会った人間を殺す危険な存在。橋本は人並み外れた動体視力を持つ刑事のチートン(チャン・チェン)を雇い、少年幽霊を尾行して死んだ場所と死因を探らせる。
少年幽霊が向かった先は障害児の学校。少年の不治の病を不憫に思った母親は泣く泣く少年を殺害して埋めた。刑事は母の行方をつきとめるが、ちょうど臨終だった。そして母も幽霊になり刑事に襲いかかる。刑事は死を覚悟するが、その時、幽霊少年が刑事を救ってくれた。そして少年と母の幽霊はどこかへ去っていった。
橋本が開発したのはある種のタンパク質。ややこしい理論は省略。これをスポンジやミスト状にして幽霊を可視化したり、閉じ込める事が出来るそうです。橋本の説では幽霊は単なるエネルギー体。生前の行為を反復するだけで意思などは無い。そしてエネルギーが無くなれば消えていく。
しかし幽霊と目が合った人間は取り殺されるのです。その時、幽霊の身体から白い糸(シルク?)が出て殺す相手に絡みつくのです。この白い系は何でしょう。エクトプラズムとかいう物体でしょうか。チートン刑事はなんとこの白い糸が見えるのです。
さらに刑事は幽霊少年の口を見てリップリーディングも出来ます。生前の少年は多発性の腫瘍に侵されて苦しんでおり、みかねた母親が楽にしてくれたのです。そして埋葬された場所は高エネルギー研究施設の側。そのため少年には無限の電磁波エネルギー供給され、簡単には消えないそうです。
意思のないはずの少年幽霊。しかしチートン刑事とは何らかの意思疎通が出来たのです。刑事には臨終の母、そして恋人がおり、二人への深い愛を少年幽霊は理解したのに違いありません。少年幽霊は刑事を救いました。だれかれ見境なく呪い殺す伽耶子や俊雄くんとは違うのです。
松山役の江口洋介さん。熱演でしたが違和感もありました。刑事役のチャン・チェンさんの独壇場。日本人俳優を無理に出さなくても、台湾スターだけで十分なエンターテイメント・ホラー。
少年幽霊の目を決して見てはいけない。
目が合った人間を取り殺してしまう...
監禁していた少年幽霊を解放した。
刑事が尾行する。他の人間には幽霊が見えない。
幽霊はバスに乗って学校へ行った。
ここは障害児の学校。黙って席についた。
少年幽霊はいきなり手すりを越えて飛び降りた。
少年の身体や顔には腫瘍。同級生たちは少年を虐めた。
保護者待合所。少年だけ母親が迎えに来ない。
怖い幽霊だが、まだ少年。涙がこぼれる...
少年幽霊は尾行に気づき、刑事に遅いかかる。
刑事は目を合わせない。少年は攻撃を止めた。
少年幽霊は母と再会する。刑事と少年幽霊の間には友情?のようなものが芽生える...
※後記
物理学者の松山はこの新物質を財界に売り込み、膨大な研究費を得ていたとの設定です。反重力など奇跡のエネルギー革命につながるとの触れ込みで。でも松山の新目的は死のメカニズムの解明。死後の世界が確認できれば、安心してそちらに行きたい。そこは競争も葛藤もない世界のはず。そんな簡単なものでしょうか。まるでゲゲゲの鬼太郎の主題歌。♪おばけにゃ学校も、試験もなんにもな〜い、なんて。