製作年・国 |
1986・アメリカ |
少年映画評価 |
B+ |
お薦めポイント |
ゴーディとクリス。2人の少年の友情。 |
映画情報など |
1987年、国内公開。BD/DVD発売中。(写真は リヴァー・フェニックス君とウィル・ウィートン君) |
言うまでもなく少年映画の傑作。本作へのオマージュは映画以外にも様々な形であるようです。もちろん私は映画館で鑑賞しましたし、テレビ放送も見ましたし、DVD、そしてブルーレイも持っています。でもなかなかレビューが書けませんでした。
傑作であると思いますが、好きな作品か?と聞かれれば、実はそれ程ではありません。夢や冒険がある訳でもなく、後味がいい訳でもありません。2022年の日本映画『サバカンSABAKAN』を見て、ああこれはスタンド・バイ・ミーなんだ。そう思って改めて本作を見直しました。
行方不明少年の死体を探しに出かけた4人。クリス、テディ、バーン、ゴーディ
(12歳の夏休み。休みが終わると進級。それぞれ別の道へ。)
12歳のゴーディ(ウィル・ウィートン)は兄を事故で亡くして落ち込んでいたが、親友クリス(リヴァー・フェニックス)、テディ(コリー・フェルドマン)、バーン(ジェリー・オコンネル)の4人はいつも一緒。小学校を卒業した夏休み。一人の少年が行方不明になっていたが、その死体の噂を聞いた4人は探しに出かける事に。
噂は町の不良グループの話。4人は列車の線路を歩いていく。廃品置場のクソ親父と猛犬から逃げ、夜はコヨーテの遠吠え、沼ではヒルに襲われながらも噂の場所に到着。そこには不良連中もいたが4人は死体を持ち帰る。こうして4人の夏は終り、それぞれ別の道を進んで大人になっていく。ゴーディは作家に。親友のクリスは...
少年たちの夏休み。ただ死体を探しに行く。1泊2日のキャンプ。それだけなんです。ファンタジーやSFではありません。少年たちの心の旅と言ってもいいかもしれません。そして4人いますが、実質的にはゴーディとクリスのお話。
ゴーディの兄は優秀なフットボール選手で両親の自慢の息子だった。ゴーディも大好きだった。その兄が亡くなり両親は落胆したまま。弟のゴーディに「お前は兄の代りにはなれない」なんて心無い言葉を投げつける。ゴーディがどれだけ傷ついているのか。親としては失格。
クリスの家は貧乏で、父親はアル中。兄は札付きの不良。クリスも同じ目で見られているため、盗みをしたり素行は良くない。しかし実はクリスは心が優しく、正義感にあふれる少年。そして頭も良かった。
そんなクリスの事を一番理解していたのがゴーディで、またクリスもゴーディの寂しさを一番理解していた。死体探しの旅の中でお互いが心をさらけ出して涙を流す場面。ここが本当に感動的でした。残りの2人の少年は深くは絡んできませんが、黙ってみている。そんな様子も素晴らしい。
有名なシーンといば、鉄橋を渡り切る前に列車がやってきて間一髪。また身体中に吸いついたヒルを大騒ぎで取る少年たち。ゴーディが自分の下着の中をみると大事な一物にヒル。そして気絶。この時叫んだ言葉は「クリス!」ここは意味深でした。
さて映画とともヒットしたのがベン・E・キングの♪スタンド・バイ・ミー。これは本作のために作られた曲だと誤解していたのですが、1961年に大ヒットした名曲です。
家族の期待を一身に担っていた兄が亡くなった。
お前は兄の代りにはなれない。ゴーディの悲しさ...
アル中親父と極悪な兄。クリスだって煙草も吸う。
(当時からリヴァー・フェニックスの人気は絶大)
喧嘩早いテディと、食いしん坊のバーン。
(テディ役のコリー・フェルドマンも人気子役)
本作はクリスとゴーディの心の交流が主題。
家庭環境は違えど、心にかかえる重荷は同じ。
日が暮れてキャンプ。コヨーテがいるので交代で見張り役。ピストルを1丁持っていた。
クリスとゴーディはお互いに心の中の悲しみを絞り出した。
とうとう見つけた。少年は線路の脇に倒れていた。列車にはねられたらしい。
その時、不良グループが現れたが、ピストルで追い払った。
旅が終わった時。クリスは「またね」
(字幕ですけど、サバカンの原点はここなのかも)
クリス。貧乏を克服して猛勉強。みごと弁護士に。
しかし喧嘩の仲裁に入り、はずみで刺殺されたとは...
※後記
「お前は絶対作家になるべきだ」クリスがゴーディに言った言葉。ゴーディ「うん一緒に進学クラスに行こうよ」 しかし少年時代の親友も、その後なかなかお互いに会うことは出来なかった様子。この辺りの会話内容は、サバカンのタケちゃん、ヒサちゃんに受け継がれたのでしょう。
しかしこの時代の米国の人気少年俳優。本作のリヴァー・フェニックス、コリー・フェルドマン。依頼人のブラッド・レンフロ、T2のエドワード・ファーロング、なぜ薬物に手を出して身を崩していくのでしょう。もったいない。