アイルランドの首都ダブリンのアパートで暮らす元ジプシーの父子。兄ティトー、弟オッシー、そして父のライリーの3人。母が亡くなってから、父は廃人同然になっており、幼い兄弟がしたたかに生活をリードしている。
ある日、祖父が野生の白馬を連れてきた。兄弟は白馬に一目惚れ。「ティアナノグ」と名前を付け、なんとアパートで飼い始めたのだ。白馬ティアナノグも、運命の絆で結ばれていたかのように兄弟と接する。暗かった2人に久し振りに幸せな時間が訪れた。
しかし幸せは長くは続かない。住民の通報で白馬は警察に連れて行かれ、しかも勝手に大富豪の馬主に売られてしまった。がっかりして落込む兄弟。父との溝もどんどん深まっていく。何ヶ月か経ったある日、町のテレビで競馬中継があり、優勝した白馬をみて「ティアナノグだ!」
兄弟はいても立ってもいられなくなり、競馬場から白馬を盗み出してしまった。しかし帰る場所はどこにもない。2人の大好きな西部劇のように、西へ西へとあてどもなく馬に乗って行くしかない。父のライリーは警察に追求されるが、息子達と白馬は見つからない。しかしこの事件で、ライリーに眠っていたジプシーの血が目覚めた。昔の仲間と連絡を取り、息子達を探しに向かった。
一方、兄弟はアイルランドの草原、森、町など旅を続ける。何回かピンチがあったが、その度に白馬ティアナログが救ってくれる。とうとうアイルランドの西の果ての海岸までやってきた。そこで父のライリーと再会。あの廃人ではなく、驚くほど逞しい父だった。父子が絆を取り戻したことを見届けると、白馬は海へ消えていった。