未来を生きる君たちへ (2010年)
製作年・国 |
2010年・デンマーク/スウェーデン |
少年映画評価 |
S |
お薦めポイント |
人類最大の課題「憎しみ」をどうするか |
映画情報など |
2011年国内公開、DVD発売済み 写真はエリアス役のマークス・リーゴード君 |
2011年8月27日、シネ・リーブル梅田(大阪)にて鑑賞。
アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。しかもデンマーク、スウェーデン合作映画となれば、名作『ペレ』と同じではありませんか。もちろん大きな期待をして見に行きました。この映画のテーマは非常に難しい。人間として最大の課題かもしれません。憎しみ、復讐の連鎖をどうやって断ち切っていくのか。愛が全て?そんな簡単なものではないのです。
主人公はアフリカの難民キャンプで働くスウェーデン人医師アントン(ミカエル・パーシュブラント)。果てしなく続く内戦。無政府状態の中、弱い難民の惨殺を繰り返すギャングのボスが重症を負った。アントンは彼を治療すべきか。
一方でアントンの息子エリアス(マークス・リーゴード)はデンマークに住んでいて、学校で強烈な苛めを受けている。妻とも別居状態。そこへ母を失ったばかりの少年クリスチャン(ヴィリアム・ユンク・ニールセン)が転校してきて騒動が起る。
クリスチャンはエリアスと親友になるが、苛めを行う級友や、不当な暴力を働く大人に対して、暴力で復讐すべきであると主張し、それが次第にエスカレートしていく。クリスチャンの心はどうなっているのか。
所感など
自殺を試みる少年
それを止めるのは
この映画の中で一番印象に残ったのがエリアス少年。実は最初に映画のチラシを見た時、ちょっと微妙、正直に言えばブサイクな感じの少年がいるなあと思ったのでした。(チラシと同じ写真が公式サイトのトップにありますので、ご参考)
映画の冒頭でイジメを受けるエリアス。「ねずみ顔」とか「ブサイク」とか言われています。確かに歯を矯正していて、いつも口が半開きの表情は冴えません。でも冷徹な美少年クリスチャンと友達になり、彼に嫌われないよう精一杯頑張っているエリアスを見ているうちに、エリアスが非常に可愛く思えてきます。
自信満々のクリスチャンに対し、エリアスはいつもためらっています。そのためらいは彼の人間としての優しさの現れ。そう思うとエリアスが本当に愛おしくなってきます。ここでは書きませんが、大事件があってエリアスもクリスチャンも死の寸前まで。
しかしラストシーン。病室にいるエリアスを見舞うクリスチャン。父のアントンは全てを見通して病室から家族を遠ざけ、2人の少年だけを部屋に残します。まるで恋人の再会場面のように。エリアスの表情がまた泣かせます。本当に名演技。
デンマークとスウェーデンは歴史的にみて日韓関係のような微妙な空気があるそうです。その辺りはよく判りませんが、エリアスとクリスチャンの友情がそんなものを超越してくれています。
細部を見れば疑問に思う箇所もありますが、本当に力強い作品でした。日本やハリウッドでは作れない映画だと思います。日本なら少年2人だけにフォーカスなんてありえないでしょうね。2人が慕うマドンナとか、クラスの美少女なども不可欠ですし。
エリアスと、転校生クリスチャン。
クリスチャンは美少年で正義漢。でも完璧主義者
いじめに合うエリアス。彼は優しい少年。
(よく見ると可愛いのです)