不思議めがね (2002年)

少年映画評価 8点
作品総合評価 7点
少年の出番 90%(ほぼ主役)
お薦めポイント 病弱ふしぎ少年と幻想的なムード
映画情報など 2002年製作/DVD発売中(写真は山田賢太郎君)


新ゴジラ・シリーズの脚本家三村渉氏の初監督作品です。三村監督のホームページを見てみると、メカゴジラなどの怪獣ものなどの脚本をずっと手がけてきた方のようです。 マイナーですが、私の超お気に入り映画「リトルシンドバッド」もこの方の脚本らしいです。

■ストーリー

主人公の少年(山田賢太郎君)は9歳で、両親が離婚し母親と暮している。祖母が入院している病院で、ふしぎな少年(宮川竜一君)と出会う。彼は喘息で入院しているが、自分のことを天使だといい、病院で死んだ患者に死化粧をしてあげる、という不気味な少年。

ある日、入院中の祖母から、人間の寿命が見えるという不思議な古い眼鏡を見せられるが、祖母は死んでしまう。ふしぎ眼鏡はどこへ行ったか見つからない。ところが、眼鏡は意外なところで見つかる。

山田君の小学校の校長先生が、養護の女先生と変態プレイをしているうちに、女先生が失神した場面に出くわすが、その時、校長先生が眼鏡を持っているのを見てしまう。山田君は養護の女先生に、秘密をバラすと脅して眼鏡を取返そうと図るが、逆に校長先生に脅されてしまう。しかし、眼鏡はニセモノだった。

何だかんだあって(話を中略)、眼鏡はふしぎ少年の宮川君が持っていることが判るが、宮川君は、同じく入院中で、手術を控えた美少女(浦野未来さん)に命をやるよ、といって死んでしまう。


病院で出会った不思議な少年
■主役少年二人は

はっきり言って、主役少年2人のルックスは、それほどでもありません。おまけに性格も良いとはいえない「役」です。だけど、何だか引き込まれていくのです(魅力があるのです)。特に宮川君は、喘息持ちで、死の影を引きずっているようで、非常に切ないのです。

山田君は、宮川君とは親友でもなく、眼鏡をめぐってケンカまでしますが、やはり宮川君の「死の影」の前には、どうしても越えられない線を感じているようです。

今年(2007年)の広島少年合唱隊の定期演奏会で「あいつ」という歌が演奏されました。その歌詞はうろ覚えなんですが、こんな筋の歌です。

友達が入院した。友達は口が悪く、強がりばかり言っている少年。(ケンカ友達)
ところがお見舞いに行って会った友達は、別人のようにやつれている。
遊ぶことはおろか、食べることも出来ない様子なのに、久し振りに会った自分に対して
退院したら、こんなことをしてやるよと、強がりを言う姿に驚き悲しむ。(死の予感)

こんなイメージの映画でした。

■侮ってはいけない!

映画全体の雰囲気は、最初は児童映画かなと思ったのですが、ちょっと違います。以下のようなシーンは、子供には見せられないはずですけどね。
・山田君の母親が、高齢者にしつこく「ねずみ講詐欺」を働きかけるシーン
・校長先生が養護の先生と不倫して、SMプレイをするシーン
・校長先生のゲテモノ趣味「昆虫料理店」での食事シーン

そんな環境で育った少年は当然の事ながら、少し性格が曲がってしまいます。しかし、旅の芸人一座に出会った時は普通の少年に戻っていきます。この場面は、大人の自分が見てもワクワクするような幻想的なシーンの連続です。このあたりは、映画「狼少女」とも共通します。

レビューが少し支離滅裂になってしまいましたが、結論的にはこの「不思議めがね」侮ってはいけません。騙されたと思って観て下さい。少年映画好きの人なら後悔はしないと思います。こんな映画がもっと製作されることを祈ってやみません。

僕は天使だ。死化粧道具を持ち歩く
夜の病室。死化粧の儀式へと





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