再生 -霊峰富士に抱かれて- (2016年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 5点
少年の出番 90%(主役の一人)
お薦めポイント 富士山の溶岩洞窟が人生の再出発。
映画情報など 2015年公開。DVD通販あり。youtubeで閲覧可能。
(写真は菅原麗央君。)


富士山・河口湖映画祭で上映された38分の短編作品。東北大震災で両親を失った少年が希望を取り戻す王道のストーリー。2018年の『星めぐりの町』も同じです。菅原麗央君は本作と同じ2015年に『白鳥が笑う』でも主演していますので、まるで地域映画の御用達少年俳優ですね。

今でも地震が起きるとパニックになって暴れ出すショウタ。おじさんが必死に抱き止めてくれた。
(プロレスごっこでイジめているのではありませんよ)

ショウタ(菅原麗央)は東北大震災で両親と妹を失った。親戚の家を転々としていたが、NPO法人の仲介で中村家にホームステイする事に。しかし中村は妻を亡くして受入れキャンセルしたのに手違いでショウタは来てしまった。次の受入先が決まるまで1ヶ月間だけの約束でショウタは中村家で暮す事になった。

ショウタは地元の中学に通うがどうせ1ヶ月と学校に行かなくなった。妻を亡くした中村は料理一つ出来ない。中村の唯一の趣味は釣り。魚を持って帰ったが妻がおらず捌けない。それを見たショウタは魚を手際よく捌いた。ショウタの父は料理人だった。2人は心を開き始める。そして中村はショウタを胎内神社に連れていった...

■生まれ変わる...

本作の無戸室浅間神社(船津胎内神社)は有名な観光スポットとの事。富士山の溶岩で出来た洞窟は女性の胎内に似ている事から、ここを通り抜けるともう一度生まれる事になり、これまでの自分を清め、やり直すことが出来るそうです。

両親と妹を失ったショウタ。全てに無気力。余震が起きると今でもパニックに陥る。まだ幼い少年だったのに親戚の家を転々とせざるを得ないのは悲しい境遇。(親戚にも事情はあるけれど、ショウタへの愛情は無い...) そんなショウタはここで父親を後を継いで料理人になる事を決意。

子供のいない中村家。定年退職後は震災孤児を受け入れて新しい生活を、そう思っていた矢先に妻が亡くなった。やっぱり無気力になり、妻の墓前では「早くお前のところに行きたい」という始末。しかしショウタの悲しみに比べたら...(ショウタの両親と妹は今も行方不明。お墓も遺骨もない。原発で捜索も進まない...)

再生した中村はショウタに言います。ずっとここにいていいんだぞ。有難うございます、でも僕は決めました。福島に帰って料理店を開きたいんです。いい顔していました。菅原麗央君。中学2年の設定ですが、学生服はブカブカで、声も高過ぎて。よく頑張りました。

中村家にやってきたショウタ。
ずっと目を伏せたまま。僕は歓迎されてない...
食事は市販の弁当とペットボトルのお茶。
妻を亡くした中村は料理なんて出来ない。


地元の中学に行かず、川口湖畔でぼーっと。
(学生服がダブダブで可愛い...)
地震パニックがようやく収まりかけた。
気が付くとおじさんが抱いてくれていた。


おじさんの釣った魚を捌いて刺身にした。
旨い。喜ぶおじさんを見ると父を思い出して涙が...
胎内洞窟を進んでいくショウタとおじさん。
やがて出口。そこは新しい世界だ。



※後記
本作のDVDの購入は富士河口湖町へ申し込んで下さいとの事。(今でも販売しているかは不明)。youtubeでも全編公開。しかし解像度はかなり落としています。高画質版を見たい場合はDVDを購入して下さいとの事でしょう。思い出すのは映画『Good Luck 恋結びの里』。これも地元の役所に申し込んで購入しました。結構勇気が要りました。別にやましい事をしている訳でもないのですが...




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