岸和田少年愚連隊 望郷 (1998年)

少年映画評価 B+
作品総合評価
少年の出番 ほぼ100%
お薦めポイント クソガキたちのパワー溢れる奮闘ぶり
映画情報など シリーズ3作目。1998年公開。DVD発売中。
写真は主役の長田融季君。


岸和田少年愚連隊。そのタイトルを聞いただけでもうええわと思っていました。ところが知人のノースエンド先生から、この望郷編は完全に少年映画ですよ、と教えられてホンマカイナと思いながらも鑑賞したら当たりでした。2部にしようかと思ったくらい。何事も変な先入観を持ってはいけませんね。

夏休み。家出した3人は岸和田から四国の足摺岬を目指すが。
(左からガス、リイチ、コテツ)

1969年の岸和田。小6のリイチ(長田融季)は友人のガス(小野浩史)、コテツ(今井一輝)とつるんで喧嘩とHな妄想?に明け暮れる毎日。リイチの父は破天荒なオヤジで家に女を連れ込み、愛想を尽かした母は家出。ついでにリイチも家出して担任の女性教師の家。3人は四国の足摺岬を目指して家出。しかし半日歩いただけで挫折。

その頃、コテツの祖母は大切なクレヨンを探して徘徊。その姿を哀れに思ったリイチたちはアポロ月着陸船の巨大な模型を作り、夏休み工作コンテストに出して見事金賞。賞品はクレヨン。コテツの祖母にプレゼントするが...祖母は川に落ちて死亡。やがて夏も終り、冬がきて1970年。リイチたちは中学生になった。


リイチ役を演じた長田融季君と、隣の小学校の番長役を演じた安田義紀君は、当時りあるキッズという中学生漫才コンビで吉本興業からデビューして活躍。長田君はダウンタウンの浜田雅功さんに似ており、漫才の芸風もそんな感じだったとの事です。残念ながら2014年にはコンビ解散。

父親役は竹中直人さん、母親役は烏丸せつこさん、女性教師役は高岡早紀さんと、そうそうたる俳優陣を相手に全く気後れする事なく演じていたのは漫才コンビとしてのキャリアと貫禄のせいでしょうか。

このリイチの父親が破天荒。リイチが生まれる臨月の母を放っておいて賭け麻雀。リーチ!これがリイチ(利一)の名前の由来。酔っ払って女性を家に連れてくるは、小学生のリイチに酒を飲ませるは、学生運動のニュースを見て興奮して自分もデモに参加してテレビに映るは...

そしてリイチ、ガス、コテツの3人組がいい。品行方正とは真逆。盗みや喧嘩をしながらも人情や正義感も忘れていません。喧嘩ばかりの毎日ですが暴力シーンは殆どありません。よく吉本新喜劇であるような、喧嘩や乱闘が開始→次のカットでは終わっており、手を焼かせやがって...そんな感じです。

特に印象に残ったのがガス。もう身長は高いのに前髪を揃えた坊ちゃん刈りに短い半ズボン。少し前にレビューしたアニメ『雨を告げる漂流団地』に登場するのっぽ君そのもの。だいたい'60-'70年頃のファッション。まあのっぽ君に比べると、ガスはかなりお下品ですけれど。

演じた小野浩史君も、漫才コンビの長田君、安田君に負けない堂々の演技でした。なお本シリーズ次作の『岸和田少年野球団』でも同じガス役で、今度は主役ですが、かなり成長して面影があまり残っていません。皆様もDVDやAmazon Primeで一度ご覧になってみては。


土管の中で拾ったエロ雑誌を読むリイチとガス。
Webなど無かった時代。少年達は意外にウブでした。
前夜、酒を飲んだリイチ。音楽の時間に吐き気が...
笛の中に戻して、穴という穴からニュルニュルと...


隣の小学校の悪ガキたちが襲ってきた。
(中央の赤手袋のボスが、漫才相方の安田義紀君)
ちょっと抜けた?顔してケンカは滅法強いリイチ。
顔に生傷は絶えない。これが男の勲章や。


コテツの祖母のために3人は工作を始めた。
当時の大事件と言えばアポロの月着陸。
リイチがいない間に、隣の小学校の悪ガキ連中が襲来。
やられたガス。戻ったリイチは連中をコテンパンに。

ジャジャーン。月着陸船完成。みごと金賞。
(しかし金賞の賞品がクレヨンとは ショボイ...)
コテツの祖母にクレヨンをプレゼントしたのだが。
(ガスは河原でコテツ祖母の死体を見つけてしまった)




※後記
2023年の『雑魚どもよ、大志を抱け!』と内容的には共通点もあります。ただ2023年の少年俳優はあまりに綺麗過ぎて。本作のような泥臭い演技の方が素晴らしく思います。そして、やはり時代にあった服装が重要です。
その点で本作のガス君。身長も高いのに短い半ズボン。しかし裾が大きめで心配しましたが、下に短いスパッツを履いて防御。1970年頃にスパッツを見た覚えはありませんが、このくらいは許容範囲内。





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