雨鱒の川 (2004年)
少年映画評価 |
6点 |
作品総合評価 |
5点 |
少年の出番 |
60%(まさかの主役) |
お薦めポイント |
後年の釣り吉三平。須賀健太君 |
映画情報など |
2004年製作。DVD発売中。 (写真は、主役の須賀健太君。) |
DVDパッケージは玉木宏さんと綾瀬はるかさんの、どアップ。超トレンディ俳優の二人。彼らの子供時代を演じたのが須賀健太君と志田未来さん。どうせ子供時代なんて最初の数分だけだろうと思って、ハナから見る気も起きませんでした。
本作品もノースエンド先生からの紹介で、須賀健太君が頑張っているとの事で、DVDをお借りして鑑賞したものです。そうしたら、いやいや驚きました。人気男優、女優を差し置いて、まだ幼い須賀健太君が実質主役といって過言ではありません。
自然の中で、自由に育っていく
■ストーリー
北海道で母(中谷美紀さん)と二人で暮す8歳の心平(須賀健太君)は、絵と釣りが大好きな少年だった。村の酒造会社の娘、小百合(志田未来さん)は同い年だが、耳が聞こえない。でも心平とだけは言葉が通じるのだった。
ある日、川で魚を釣っていると大きな鱒が現れた。モリで刺そうとするが、身体が動かない。鱒は心平に何かを語りかけるように心平にまとわりつく(死んだ父親だったのか)。以降、心平は川でこの鱒に会うのが楽しみになった。
また心平は常にスケッチブックを持っていた。決して優等生的な絵ではないが、語りかけるような印象的な絵。担任の先生は心平の絵を国際コンクールに出した。そして特選が決まった時、持病を持っていた母が亡くなった。やがて大人になった心平(玉木宏さん)は、小百合(綾瀬はるかさん)の父の会社で働くが・・。
■生き生きした須賀健太君が印象に残る
子役としてのキャリア豊富な須賀健太君ですが、この作品当時は無名だったと思います。本作品で登場した冒頭シーンでは、あまりに幼くて、まともに演技なんて出来るんだろうかと危惧したのですが、全く心配無用。縦横無尽というと大げさですが、北海道の大地を駆け回る姿は爽快でした。
この映画の5年後に公開された「釣りキチ三平」での釣り少年の原型はこの作品にあったのですね。しかも「釣りキチ三平」よりも、ずっとずっと魅力的に見えるから不思議です。あの映画で最後、大きな魚に馬乗りになって捕まえるシーンがありましたが、本作でもあるんですよ。
志田未来さんも本作品時点では、まだ無名に近かったのか、あまり目立たない感じでした。2年後に公開された「椿山課長の七日間」では、ブレイクした志田未来さんの前に、須賀健太君は完全な端役扱い。それを思うと、本作品の須賀健太君の溌剌とした演技が、愛おしく思えます。
本作品のレビューをネットで読むと低評価ばかり。その大半は「子供時代が長すぎる。玉木さんと柳瀬さんのラブストーリーを見たかったのに。子供なんか見たくない」そんな感じです。少年映画ファンというのが、やはり超マイナーなんだという事を再認識させられました。
川で大きな鱒を見つけた。モリで刺そうとするが・・
鱒は心平に何かを語るように、足の間をすり抜ける
■北海道。それだけでポイントアップ
あのドラマ「北の国から」もそうでしたが、狭くて汚い大阪(自虐的かな)に住んでいると、北海道には無条件に憧れてしまいます。心平が暮すのは、見渡すばかりの草原の丘の上の一軒家。日本ではなく欧米の映画に出てくるような。
近所で騒ぐ子供やオバハン、選挙もないのに騒音を出すKS党のマイク、夜遅く湧いてくる不良高校生。そんなものがなくて天国のように見えます。もちろん、遠くから憧れているのが一番いいのであって、実際に住めば、色々な不都合もみえてくるんだろうとは思います。
子供と動物には勝てない、などと言う映画関係者がいますが、私にとって北海道も同じ。映画の内容が今一つでも北海道が舞台だと1ポイントアップ。(北海道とは対照的に狭苦しい町ですが、大林監督の尾道も、同じく1ポイントアップ。)
絵を描くの好きだった。後ろは小百合役の志田未来さん
左端の少年は、心平にライバル意識を持つが
(心平の絵を見て、これは勝てないと悟った)