こむぎいろの天使 (1978年)

少年映画評価 B+
作品総合評価 B+
少年の出番 100%
お薦めポイント 子雀を育てる少年二人の熱情。
映画情報など 1978年、教育映画として流通。2023年にDVD発売。
写真は松田洋治君。


テレビ放送で2回くらいは見た記憶があります。でもビデオなどの販売もなく、細部は忘れてしまいましたのでレビューを書けずにいました。それが2023年になってやっとDVDが発売。ようやく鑑賞できました。教育映画ですので説教じみた部分もありますが、少年俳優二人の熱い演技にちょっと感動しました。

雀の雛を育てる二人。ケンイチとサブ。試行錯誤の連続だが楽しかった。

富士山が見える山村。小学生のサブ(松田洋治)は今日も元気一杯。しかし腕白過ぎて誰も近寄らない。仕方がなく身体の弱いケンイチ(中越司)を強引に連れ出す。近所の悪ガキが親雀を空気銃で撃った。その巣には子雀が5羽。二人は飼う事にするが餌を食べない。3羽が相次いで死んだ。残り2羽は餌を食べるようになり、二人は喜ぶ。

また猫に襲われた。最後の1羽は二人を親のように思って懐く。しかしサブの母が雀を捨てた。二人は雀を探して山の中に入るが道に迷ってしまう。村中大騒ぎで子供たちを探した。これ以降、親たちは雀を飼う事を許したが、雀にとって人に飼われるのは幸せなのか。二人は涙を飲んで雀を放すことにした。


ネットでは『こむぎいろの天使 雀と少年』となっています。1999年に続編『こむぎいろの天使 すがれ追い』が製作されたので区別するためでしょうか。このレビューでは「雀と少年」は省略します。

「すがれ追い」の方を先にレビューしましたが、登場人物の名前やキャラクターは全く同じ。主人公のサブはあばれはっちゃくとキャラが被ります。ケンイチは青びょうたんと呼ばれる病弱な少年ですが、サブと一緒にいる事を嫌がりません。身体の強いサブに憧れているようです。

もちろんケンイチの両親はサブと遊ぶなんてとんでも無い事と叱りますけれど。でもこのケンイチ少年の頑張りが後半のみどころ。大きな大木に素足のままで登ります。そして雀を自然に返してあげようとの強い意志を示す表情が素晴らしい。

主演の松田洋治君。もう何も言うことはありません。名子役です。映画やドラマでも大活躍。本作でも安心してみていられます(あざと過ぎるかなと思うくらい)。しかし本作では、私はケンイチ役の中越司君を推したい。それほど名演でした。1980年のTVドラマ『魔少年』で演じた影のある悪役少年も印象に残っています。

村からは雄大な富士山。
サブは富士山を見て育った。
サブは強引にケンイチを連れ出す。
他の子はサブを敬遠。
雀の雛を見つけた。
5羽もいたのだが...


サブの行動に呆れるケンイチ。
でもサブのパワーに憧れる。
雛の餌を探す二人。
食べるどころか口も開けない。
鶏小屋に盗みに入る二人。
クサイので鼻をつまんで。


木に登れないケンイチをロープで。
タマがはさまった!降ろして。
山で迷った。ケンイチを背負う。
この顔はもう子供ではない。
ケンイチも木に登る。自力で。
サブがお尻を押してくれた。


木の上はサブの秘密基地。ここで雀を放すことに。でもサブはなかなか...
(初めて自力で登ったケンイチの顔には傷。これは男として名誉の傷だ)



※後記
DVD発売は大変うれしくて有難いのですが、画質が少し残念でした。ゴーストが写っています。地デジしか知らない世代の方には「ゴースト」なんて死語かもしれません。アナログのアンテナで受信した電波は、近隣のビルなどからの反射波も拾って映像が二重三重になります。DVDのソースはどなたかが家庭用ビデオで録画したもので、しかも電波状態のよくない場所にお住まいの方だったのかもしれません。フィルムからHDリマスター版のブルーレイが欲しい。すみません。それでも本DVDは本当に有り難く思っております。




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