ボクの、おじさん The Crossing (2000年)

作品総合評価 B-
少年の出番 90%(準主役)
寸評 おじさんが主役。ボクは少なめ
【少年映画でない理由】少年らしさが見えない。
映画情報など 2000年公開。DVD発売中。
写真は細山田隆人君。


同じタイトルである、1958年の仏映画『僕の伯父さん』、2016年の日本映画『ぼくのおじさん』などに隠れて検索してもなかなか出て来ません。本作のタイトルは後にThe Crossingがついていますので、それを入れると検索できます。

タイトルが長ったらしいのは好きではなく、タイトルの後に、〜○○○○〜が付いているものや、小さな文字が付いているものは、できるだけ省略したい主義です。

おじさんのバイクに乗せて貰ってツーリング。2人の距離は少し縮まったかもしれない。

東京でデザインの仕事をしている川口(筒井道隆)に実家の兄から連絡があった。父親が亡くなった事。兄の息子タクヤ(細山田隆人)が強盗未遂で補導された事。頭が重くなりながらも故郷の熊本へ帰った。兄は離婚して14歳のタクヤと父子家庭。タクヤは少年院送りを免れて保護観察処分中。

川口はタクヤに話かけるが相手にされない。それどころか悪友3人に頼んで川口に暴行を加える。仕事でもトラブルをかかえる川口はキレて、昔使ったバタフライナイフをタクヤに渡す。バイクにタクヤを乗せて走り回る。そして東京に帰っていった。タクヤの中で何かが少し変わった。


印象的なアイテムが(アイスホッケー選手がつけるような)マスク。タクヤはこれを着けて郵便局に押入ります。おじさんを襲った悪友3人もマスクをつけて。顔を隠すと大胆になれるのでしょうか。あるいは顔を隠さないと何も出来ないのかも。(単にハリウッドのホラー映画の影響かもしれませんけれど。)

タイトルこそ「ボクの、」とついていますが、映画は終始おじさんの視点で進みます。デザインの顧客先である会社の部長から「お前高卒か」などと散々バカにされます。これは後で小気味よく復讐しますので、ストレスは残りませんでしたけれど。

14歳の少年を演じた細山田隆人君。この年代特有の不満や反発心をよく演じました。しかし今一つ何か目的なのか、何が不満なのか判りません。単なるステレオタイプとして思春期のイライラを描いたような感じです。最後の「ぼくの(変な)おじさん」という作文を書くのも、とってつけたようで。

おじさんの少年時代のシーンがよく出てきます。この少年時代も細山田隆人君の二役。ですので、少年時代の回想なのか、現在の問題児少年なのか混乱しました。おじさんは少年時代に川(球磨川?)を始めて泳いで渡り、川の反対側から眺めた風景に何か啓発を受けたようです。

この川を泳ぐシーンが何回かリピートして挿入。これがThe Crossingの意味なんでしょう。何かを越える。それで初めて判るものがある。甥っ子のタクヤにも越えて欲しい。でも彼はまだ越えていないままに映画は終了。


マスクを着けて郵便局に押し入ったタクヤだったが、
あっけなく取り押えられてしまった。
DVDやチラシに使われているシーン。
左はタクヤではなく、右のおじさんの少年時代。


タクヤは自宅で保護観察処分中。
おじさんが話しかけてくるのは面倒だった。
おじさんから貰ったバタフライナイフ。
喉につけてみた。自殺する気は無さそうだが。


おじさんのバイクを勝手に持ち出した。
しかもノーヘル。田舎道とはいえ...
帰ってきたタクヤの顔を父が殴った。
痛いけれど、これが欲しかったのかも...



※後記
タクヤを演じた細山田隆人君。まだ小学生だった1996年の『学校の怪談2』で主役クラスで出演。そして後には大林宣彦監督に気に入られたのか、常連俳優として活躍しています。





▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼第5部トップへ戻る