瞼の転校生 (2023年)

少年映画評価 少年たちの友情。最後はBL?
作品総合評価 淡々としながらも目が離せない好作品。
少年の出番 ほぼ100%。
お薦めポイント 主役の松藤史恩の肩肘張らない好演ぶり。
映画情報など 2023年国内公開。DVD等未発売。
写真は松藤史恩君。


埼玉県川口市の市制施行90周年記念作品。いわゆる地元映画ですが、みえみえの観光案内要素は全くありません。大衆演劇と少年たちの友情を描いた爽やかな作品でした。映画の情報があまりありませんでしたが、大阪の第七藝術劇場で鑑賞。平日にも関わらず結構観客がいました。

映画パンフレット(800円)表紙より

中学3年生のユウキ(松藤史恩)が川口市の中学校に転校してきた。彼は小さな劇団の座長の息子。旅回りの巡業で1ヶ月ごとに転校するため友人はいない。担任から頼まれて不登校のケン(齋藤潤)へ書類を届けた事がきっかけで初めて友人が出来た。ケンは不登校だが成績はトップ。そしてアイドルオタク。オシは地下アイドルの浅香。

ユウキはケンを演劇に誘うが興味ないと断られた。ところが浅香はアイドルを脱退し、なんとユウキのいる劇団の見習いに。1ヶ月が経ち千秋楽。ユウキはまた転校する事になる最後の日。ケンは浅香がいる事を知り劇場にやってきた。初めての大衆演劇。そして推しの浅香。しかし目を引いたのはユウキの艶やかな女形ぶり...


上のストーリーに少し補足。地下アイドル浅香の母親は劇団の大事な(相撲でいえば)タニマチ。彼女に娘の様子を見てきて欲しいと言われ、座長は息子のユウキに行かせます。しぶしぶ行ったユウキでしたが、隣りにノリノリのケンがいたという訳です。これが2人の友情を加速させた要因でもあるのですが。

ユウキを演じた松藤史恩君。映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』に出演との事ですが、最初は判りませんでした。4人組少年の中で一番影の薄い正太郎役の子。メガネをかけていたので全く別人に見えました。雑魚どもの中でも本当の雑魚みたいに思っていました。(失礼な事を書いてすみません)

ところが本作は本当に当たり役。少しふっくらとした童顔。直接は似てはいませんが、どこか坂東玉三郎さんを彷彿させるものがあり、白塗りして女形になると非常に可愛く見えるのです。ただ上半身肌ぬぎになった時に見えた身体は意外にガッシリ。スポーツでもやっているのでしょうか。

映画『カラオケ行こ!』で大人気になった齋藤潤君ですが、本作では完全に松藤史恩君に食われました。まあ彼が主役ですから仕方ありませんけれど。

ネタバレですが禁断のラスト。推しの浅香さんを見に劇場へ行ったケン。浅香さんに渡すレイ(後記を参照)を買って待機。そして舞台が終わって駆け寄ったのは、憧れの浅香さんではなく、なんとユウキ。1ヶ月の凝縮した友情とあいまって、女形姿の艶やさかに一目惚れ。

少年映画ファンの私としては嬉しいラスト。でも浅香さんの気持ちを考えると複雑です。まさか少年に負けてしまうとは。いくらユウキに心を奪われたとしても、まず最初に浅香さんにレイを渡し、その次にユウキへ。レイは何本か持っていたようですので。つまらない事を書いてしまいました。でも映画は面白かった。皆様もどこかで是非。


不登校のケン(左)の家に書類を届けに行ったユウキ(右)。
ケンは不登校だが成績は常にトップ。
ケンの部屋でアイドル浅香のビデオを見る二人。
ユウキはいきなり浅香の振付けを真似しだした。


ユウキは中学を出たらそのまま役者になる決心。
座長の父。それでいいのか。なんでそんな事いうの?
舞台稽古をするユウキ。少し迷いもある。
思春期で父への反発も。でも芸に集中しようと。



ユウキは思い切ってケンを舞台に誘った。ゴメン。俺には興味が無くて。


左から女形姿のユウキ、元アイドルの浅香、ケンの元恋人。
少年姿ではそれ程でもない(スミマセン)が、女形になるとやっぱり可愛い。



※後記
大衆演劇では役者さんに渡すオヒネリが大事な収入源。本作でもケンが現金を包みますが、一緒にいた元彼女(葉山さら)から、現金は1万円が最低額と言われ、さすがに中学生のケンは無理。そこで劇場で売っているレイ(花飾り)を何本か買います。1本1000円くらいが相場との事。ケンは数本買った様子。たぶんレイは使い回しですので、実質的にはオヒネリと一緒。こんな事はきっと常識なのかもしれませんが、私は初めて知って興味深く思いました。

本文では全く書きませんでしたが、ケンの幼馴染みで元彼女を演じた葉山さらさん。超美少女です。どこかで見た顔と思ったら映画『福田村事件』の最初と最後に登場した少女役。生駒星汰君演じる少年にお守りをかけてあげる姿が印象的でした。





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