4TEEN(2004年)

初回放送・製作 2004年7月25日・WOWOW
作品評価
お薦めポイント 東京の下町を自転車で駆け抜ける素晴らしい疾走感
関連情報など DVD発売中
(写真は落合扶樹君)


石田衣良氏の原作小説は文庫化されてすぐに読みました。石田氏の小説は池袋や月島など東京の下町を舞台に独特な世界があり、好き嫌いは分かれるとは思いますが私は好きな方です。ティーンエイジャーの少年もよく登場しますし。ただ必ず暴力シーン(それもかなり激しい)があるのはアレですけれど。

本作はWOWOWでドラマ化されたもので、ずっと以前にノースエンド先生からお借りして鑑賞しています。レビュー化しようと下書きは書いていたのですが、もう少し掘り下げて書こうと思っているうちに時間が経ってしまいました。

結局は下書きのままなんですが本当に名作です。14歳の4人組、日本版のスタンド・バイ・ミー、いやそれ以上に心に残る作品だと思います。見てない方はDVDを鑑賞し、そして原作小説も必ずセットで読んで欲しいものです。(原作は同じ登場人物の8編の短編連作。それを1話にしていますので、少し印象が異なりますが。)

「海を見ながら死にたい」という男を連れて東京湾を...4人の少年の心には何が残ったのだろう...
(左からジュン、テツロー、ナオト、ダイ)

東京月島の中学生、テツロー(角田紳太朗)、ナオト(落合扶樹)、ジュン(若葉竜也)、ダイ(柄本時生)の4人は幼馴染でいつも一緒にいる仲間だ。テツローはごく普通の中学生。ある日、先生から頼まれて不登校の同級生女子の家へ書類を持っていく。彼女は姿は見せず携帯電話での会話。しかしいつの間にか二人はいい関係に。

ナオトは早期に老化が進行するウェルナー症候群という難病で入退院を繰り返している。入院中の14歳の誕生日、他の3人はサプライズなプレゼントをと女の子を部屋に呼ぼうとナンパするが相手にされず。ひょんな事から風俗嬢が話を聞いてくれてナオトの部屋にやって来た(デリヘル?)。ナオトのベッドに入るがナオトは彼女の胸で泣くだけだった。

夏休み、4人は秘密基地の廃倉庫ビルの屋上で不審なオッサン(菅原文太)を見つける。元医師だが余命僅かを悟って病院を抜け出し、海の見える場所で死にたいと言う。4人はオッサンにもっと海を見せてやろうと荷物運搬船の船主に頼み込んで東京湾をクルーズ。「お前たちに会えてラッキーだった」オッサンは静かに逝った。

やがて大事件が。ダイがアル中で暴力を振るう父親を殺した容疑で拘置。実情は、暴れて寝てしまった父を家の外に出したが、寝ているうちに吐瀉物を喉に詰まらせて窒息死。3人はダイに手紙を書く。やがて嫌疑が晴れたのかダイは戻ってきた。しかし3人とは目も合わさず不良グループに入った。どうにかして元のダイに戻って欲しい3人は...

 俺たち4人はいつも一緒だ...そんなの幻想か...それでいい

本当に14歳の少年というヤツはどうしようもない。子供のように可愛くもなく、大人のようにズル賢くもない。中二病とも言われますが、成長過程の一段感に過ぎません。少女はどうでしょう。本作品に出演していた中尾ミエさんは「私はもう15の時には仕事していた」との事。もっと早いのかもしれません。

異性に興味はあれど、まだまだ行動できないお年頃。同性の友人と「心の友達」になるのは自然な感情。「お互いに秘密はなく一緒に生きよう」なんて言ってますが、クラス替えや卒業すれば、そんな事はすぐ忘れてしまいます。脆いもの。

だからといって馬鹿にしてはいません。原作者の石田衣良氏は、たとえ一瞬の感情であろうとも、仲間と希望や人生を共有できる感情は素晴らしい体験だと(この言葉通りを話されたのではなく、私の勝手な意訳です)。私もそう思います。異性、同性に関わらず人間と出会い、惹き込まれ、時には裏切られたりして成長していくんだろうと。

病室での誕生日。ナオトのベッドに女性が..
(難病で髪の毛は白髪まじり、皮膚にはシワ)
どうだった? よかったか? 無邪気な3人
(それにしてもナオトの病室は超豪華。VIP室かな)

 少年俳優たち。やはり落合扶樹君

原作はテツローの視点で描かれる事が多いので角田紳太朗君が主役という位置付け。普通の中学生を普通らしく演じました。でも「いつまでも4人一緒」といいながら、一人抜け駆けしてクラスの不登校の女子と仲良くなっていきます。なのでコノヤロー!と思うことも(角田君自身には関係ないことですみません)

ジュン役の若葉竜也君。本作では彼のエピソードが無いのは少し気の毒。もんじゃ焼きの店の孫という役ですが、婆ちゃん役の中尾ミエさんに全部持って行かれました。ダイ役の柄本時生君。俳優であるご両親の七光と言われないように、独自の演技力を磨いて欲しいもの。

そして私的に1番は、やはりナオト役の落合扶樹君。最初登場した時、銀色のメッシュ入りヘアとは..(ヤンキースタイルじゃないか)。でもウェルナー症候群による白髪。また皮膚は特殊メイクでしわしわ。ちょっと可哀想な容貌での登場ですが、彼の存在感は普通ではありません。

明石家さんまさんの番組に始まり映画出演も数知れず。『アイ・ラヴ・フレンズ』『ホ・ギ・ラ・ラ』『ベースボールキッズ』など少年俳優として主役または主役級の作品も持っています。日本の場合、相当な有名子役でも主演映画なんて殆ど無いご時世に、大したものです。

ところが、これだけ映画にもドラマにも出演しているのに知名度が低い事を本当に残念に思います。演技やセリフは同世代の神木隆之介君にも決して引けをとりません。特に脚の長いスタイルも抜群。本作でも他の子役たちとは異なる演技力でした。(私の欲目かもしれませんけれど)

すみません。本サイトあくまで映画やドラマの内容にこだわり、演じた俳優さん個人の事は書かない主義でしたのに申し訳ありません。とにかくDVDレンタルででもご覧になって下さい。(今回はキャプチャー写真も多めに)

不登校の女子の家へ学校の書類を持ってきたテツロー
「中に入って」と言われ入るが誰もいない..
「人には会えないの、でも話はしたい。また来てね」
(テツロー役の角田紳太朗君。彼が一応は主役)

自転車で東京の下町を疾走する4人の少年
(中学生といえば自転車。この疾走感は本当に爽快!)
男とクルージングした東京湾。夕焼けを見つめて..
(俺たちは一生忘れない...)

クルージングの後、男はまた倉庫の屋上で眠る。
ナオトは一人戻ってきた。(いいシーンだなあ)
「おじさん、死ぬの怖くないの?」
「僕は怖くて仕方がないんだ...」

ナオトの言葉をかげで聞いていた3人。
死を恐れるナオトの気持ちに触れて黙り込む..
ラスト近く。ダイを不良グループから取り戻す事に成功
ボコボコにされたけど(暴力シーンは思ったより控えめ)





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