大怪獣ガメラ (1965年)
| 作品総合評価 | B | 
| 少年の出番 | 約25%(出番の割に非常に重要な役) | 
| 寸評 | ガメラ第1作。1作目から子供の味方だった.. 【少年映画でない理由】出番少なめ。
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| 映画情報など | 1965年公開。BD/DVD発売中。 写真は内田喜郎君。(後にジャニーズ入り)
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ガメラ第1作。東宝のゴジラ第1作が1954年ですから、遅れる事11年。ようやく大映でも怪獣映画が誕生。娯楽作品はすでにカラー全盛時代にモノクロですので、地味な事は否めません。ただゴジラシリーズとの違いは、第1作から子供(少年)への目線や配慮があること。
少年俳優が活躍しない2作目のガメラ対バルゴン、3作目のガメラ対ギャオスについても末尾で少し述べておきます。またガメラシリーズ全体については後記にまとめていますので、ご参照してみて下さい。
 ガメラは少年を手のひらに乗せて助けた。(これで全国の少年少女たちはガメラのファンに)
ガメラは少年を手のひらに乗せて助けた。(これで全国の少年少女たちはガメラのファンに) 
北極上空で米軍に撃墜された国籍不明機は核爆弾を搭載しており爆発。冬眠していた怪獣ガメラが目を覚まし、北海道の襟裳岬に上陸。灯台で暮す少年トシオ(内田喜郎)をガメラは助けたが、各地の発電所やコンビナートを襲い始めた。ガメラのエネルギー源は熱。熱を求めてガメラは移動し、被害は拡大。自衛隊の攻撃も効果がない。
政府は伊豆大島にある火星ロケット施設にガメラを誘導し、火星へ追放してしまおうと計画する。トシオが「ガメラは悪くない」と主張しても聞いてくれる人はいない。紆余曲折の末、ガメラはロケットに乗せられて火星へと発射され、地球の危機は去った。
 
この時代。やはり核が本当の脅威でした。広島、長崎の記憶もさることながら、南太平洋、アメリカ、中国、ソ連の砂漠で水爆実験などが頻繁に。中国で核実験の後など「今日は放射能の雨が降るから、傘忘れたらあかんよ。放射能浴びたら頭ハゲるし」などと言われたものです。
原爆や水爆の影響でゴジラやガメラが出現。最初は完全に悪役でしたが、バルゴンとかギャオスとか、もっと悪役の怪獣が登場。次第にゴジラやガメラは正義の味方、とまではいきませんが、特にガメラは子供たちの味方という位置付けになっていきます。
本作のトシオ少年の両親は灯台守。灯台守の一家は灯台の中で生活していたのでしょうか。それとも灯台の根っこ近くに官舎みたいなものがあったのかもしれません。沖からやってくるガメラを灯台の上で発見したトシオ。
実はトシオは(ごく普通の)カメを飼っていて、そのカメがガメラになってしまったのではないか。自分のせいだ。そんな事を思っていたのでした。灯台を倒したガメラですが、なぜかトシオ少年を手にのせてそっと下ろしました。このシーンから、ガメラは子供たちの味方に。後には♪ガメラマーチも誕生。
 トシオが大切にしていた小さなカメ。
トシオが大切にしていた小さなカメ。
両親から海に戻すように言われる。これは定番。 
 迫ってくるガメラ。灯台の上でじっと見つめる。
迫ってくるガメラ。灯台の上でじっと見つめる。
あれは僕のカメにちがいない。 
 ガメラを警戒する自衛隊員の横からそっと...
ガメラを警戒する自衛隊員の横からそっと...
ガメラはいいヤツなんだ。攻撃しないで。 
 ガメラは火星に行ってしまった。
ガメラは火星に行ってしまった。
大人になったら宇宙飛行士になりガメラを助けるんだ!
(1年後には戻ってくるんですけどね) 
 (その他の子役さん)北極のエスキモーの子。
(その他の子役さん)北極のエスキモーの子。
(トシオと区別がつきませんでした) 
 (その他の子役さん)トシオの友だち。
(その他の子役さん)トシオの友だち。 
■大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン(1966年)
第1作で火星に追放されたはずのガメラ。ロケットに隕石が衝突してガメラは地球に戻ってきた(ナンヤネン)。一方、太平洋戦争中にニューギニアで見つけた巨大な宝石オパールをめぐって3人の男たちが、醜い争いを繰り広げる。このオパールは宝石ではなくて怪獣バルゴンの卵。赤外線を浴びて巨大化したバルゴンは冷凍光線を吐き出して猛威を振るう。ガメラがバルゴンと戦い、苦戦の末にバルゴンを倒す。
とにかく人間の欲望の醜い面をこれでもか見せられる作品。子供なんか一人も出てきません。おかげで大人の鑑賞には耐えられる出来ですけれど、これでは夏休みや冬休みに子供を動員することは無理。
 準主役の英一少年
準主役の英一少年 
■大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス(1967年)
海底火山の明神礁が噴火。それに続き噴火活動が北上しついに富士山も噴火。その影響で地下で眠っていた怪獣ギャオスが目を覚ます。超音波レーザーで何でも真っ二つにする凶悪な怪獣。
取材に来た記者と地元の少年英一(阿部尚之)がギャオスに襲われた時、ガメラが出現して助けてくれた。怪獣をギャオスと名付けたのは英一。ギャオスが夜行性だと気づくなど少年が大活躍。最後はガメラがギャオスを倒す。
ガメラが子供の味方路線に戻りました。英一役の阿部尚之君は美少年ではありませんが大熱演。ストーリー的にもハラハラドキドキと見れる佳作です。次作4作目からは日本人少年と外国人少年のコンビが主役となりますが、ストーリーのレベルが子供だましのように低下するのが残念です。
※後記
 昭和ガメラシリーズの一覧表です。
| 1 | 1965 | 大怪獣ガメラ | 本作です。記念すべき第1作。 | 
| 2 | 1966 | 大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン | 完全に大人向け。第1作(本作)のレビューで少し言及。 | 
| 3 | 1967 | 大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス | 再び子供路線に。第1作(本作)のレビューで少し言及。 | 
| 4 | 1968 | ガメラ対宇宙怪獣バイラス | レビュー済み。ボーイスカウト少年が主役。 | 
| 5 | 1969 | ガメラ対大悪獣ギロン | レビュー済み。少年がなかなかイケメン。 | 
| 6 | 1970 | ガメラ対大魔獣ジャイガー | レビュー済み。最後の決戦は大阪万博会場で。 | 
| 7 | 1971 | ガメラ対深海怪獣ジグラ | レビュー済み。幼稚園児の男女が主役。 | 
| 8 | 1980 | 宇宙怪獣ガメラ | レビュー済み。前田晃一君が活躍。 | 
| 9 | 1995 | ガメラ 大怪獣空中決戦 | 平成ガメラ第1作。少年登場なし。レビュー予定なし。 | 
| 10 | 1996 | ガメラ2 レギオン襲来 | 平成ガメラ第2作。少年登場なし。レビュー予定なし。 | 
| 11 | 1996 | ガメラ3 邪神覚醒 | レビュー済み。平成ガメラ第3作。男子中学生が準主役。 | 
| 12 | 2006 | 小さき勇者たち ガメラ | レビュー済み。最終作。富岡涼君が大熱演。傑作です。 |